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顧客のjobとユーザーストーリーからMVPを作る―ビジネスモデルデザイン成功の第一歩

第14回:ユーザーストーリーマップ編

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 前回は、ビジネスモデルに関するアイディアと仮説をテスト/検証する「進捗ボード」をご紹介しました。今回は、検証された顧客の課題を解決するソリューションを実現するプロダクトやサービスの機能をユーザー視点で整理するための「ユーザーストーリーマップ」注1)に関する活用Tipsをご紹介していきましょう。

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顧客のjobから提供価値を考え、解決策としてユーザーストーリーで検証する

 「ユーザーストーリー」とは、利用者としての顧客の視点からプロダクトやサービスの要件を自然言語で簡潔に記述したものです。ユーザーストーリーは、役割/ペルソナ、機能/性能、ビジネス価値という3つの観点から表現されます。具体的には「オンライン購買者として、商品の検索をすることができる。それは、欲しい商品をすぐに見つけるためである。」というように書いていきます。

 一方、ユーザーストーリーマッッピングとは、これらのユーザーストーリーを時系列と優先度という2つの軸でマップ上に並べていくことにより、プロダクトやサービスが満たすべき要件の仕様を整理し、その全体像をプロジェクトチーム全員で共有するためのツールです。典型的には、Webサービスに代表されるアジャイル型のシステム開発に利用されていますが、一般的なプロダクトやサービス開発にも応用できるでしょう。

 ところで、米国ではユーザーストーリー対ジョブストーリーに関する活発な議論がなされています。前者が顧客視点からのプロダクトやサービスの機能に焦点を当てる一方、後者はプロダクトやサービスを利用する顧客の状況や動機に焦点を当てるところが大きな違いです。ジョブストーリーとは、すなわち顧客の課題であり、「オンラインで購買をする際、欲しいものを見つけるための時間を最小化したい」というような表現になります。ジョブストーリーとは、実際にしていることというよりも、したいと望んでいる顧客の真のニーズに言及するものです。

 弊社では、顧客の課題をジョブストーリーとして表現し、次にその課題を解決するためのソリューションを概念化し、最後にそれを実現するためのプロダクトやサービスの要件としてユーザーストーリーに変換するというプロセスをお薦めします(図1)。

ジョブストーリーとユーザーストーリー図1. ジョブストーリーとユーザーストーリー

 適切なユーザーストーリーを記述するための基本原則(各々の頭文字をとってINVESTと呼ばれる)がありますので、ご紹介しましょう。

  • Independent(独立していること)- 各々のストーリーは、他のストーリーから独立していること
  • Negotiable(交渉可能なこと)- 各々のストーリーは、タイミングやコストなどの視点から改善が可能なこと
  • Valuable(価値があること)- 各々のストーリーは、利害関係者に対しての具体的なビジネス価値をもっていること
  • Estimate(見積り可能なこと)- 各々のストーリーは、コストが見積りできるよう明確な範囲と定義がなされていること
  • Small(小さいこと)- 各々のストーリーは、適切なサイズに分割されていること。
  • Testable(テスト可能なこと)- 各々のストーリーは、テスト可能であり、それに関連する明白な受入基準をもっていること

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この記事の著者

白井 和康(シライ カズヤス)

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