佐々木正悟
心理学的見地にもとづいた効率的な仕事ノウハウに定評があり、 書籍やオンライン連載の執筆の傍ら、「タスク管理」「時間管理」のコンサルタントとして活動。
海老名久美
Webメディアを中心に、書評やアプリレビューなどの記事を多数執筆。仕事のために、国内外のテック系ニュースを幅広くチェックしている。
手早く見栄えのする図表を作りたい
佐々木「少し前に、Macをアイデア製造機にするという話をしましたが、そのとき、アイデア出しに使うツールとして「Scapple」を紹介していましたよね。」
海老名「はい。キーワードや文章を、キャンバスのどこにでも入力できるツールですね。」
佐々木「そのScappleよりも、もう少し洗練された、図表のようなものを簡単に作れるツールはありませんか?」
海老名「というと、たとえば、フローチャートやダイアグラムみたいなものでしょうか?」
佐々木「そうです!セミナーのスライドを作っているときや、本の執筆中に、文章で書いた考え方を図で表さなければならないことがあるのですが、「ちょっと図を作りたい」というときには、グラフィックス系のアプリでは、扱いが難しすぎて困っています。」
海老名「グラフィックス系の知識がなくても、見栄えのする図表を使いたいなら、「Infographics」というデザイン集がお勧めです。簡単に使えて、手ごろな価格で手に入るグラフィックデザイン系アプリなら「Artboard」がいいかもしれません。」
「文字だけでは伝わりにくい」と思われる時代
(以下、佐々木)
私は物書きというか、ほとんど「文章書き」で、本業としては「文章を書く」ことで生計を立てている人間です。
しかしながら、最近になって「文章中にわかりやすいイメージが必要」という事態や、それこそプレゼンテーションで「ぱっと見で理解されて、いい感じの図表」があると、文字だけのプレゼンよりもはるかに見栄えがする、と痛感させられています。
痛感させられてはいるものの、私は人の100倍くらい絵心がありません。これはうまく伝えられないのですが、たとえば、小学校時代、「算数」や「社会」は6年間を通じて3段階の3以外はとったことがないのですが、これが「図工」の、それも「絵」となると、3段階で「3」だった記憶がほとんどないのです。
このような評価は絶対評価であるうえ、よほどひどくない限り(たとえば全部欠席するとか)、「1」なんてもらわないものですが、「1」だったことが2度はあります。絵が絵にならないのです。
その頃から、絵を描くということがとても嫌いでした。冬のマラソンも嫌いでしたが、その10倍は嫌いでした。社会人になって何が嬉しいといって、絵を描かずにすむということが非常に嬉しかったものです。
なのにいまになって、「プレゼンにイラストだ、ビジネス書に図表だ」といわれても、サボタージュしたい気持ちでいっぱいです。なんとか私の意を酌んで、文章書いたら、それにふさわしい図をコンピュータが描いてくれないものかと思うわけですが。
プロが作ったインフォグラフィックスを活用する!
(以下、海老名)
たとえば、Keynoteにあらかじめ用意されているテンプレートを使えば、ある程度、体裁の整ったプレゼンテーション資料やニュースレターが簡単に作れます。しかし、スライドに文字だけを並べても、あまりインパクトはありません。より的確に情報を伝え、読み手にインパクトを与えるためには、それなりに目を引くデザインの図表が欠かせません。
そこで、図表作成ツールや、グラフィックデザイン系アプリを使って、かっこいい図表を作成しようとするのですが、インパクトを与えられるような、ハッとするデザインの図表など、そう簡単に作れるものではありません。図表の作成に四苦八苦しているうちに、すっかり疲れ切って、本来、伝えたかったことがぼんやりしてきてしまった、などという経験をお持ちの人も多いのではないでしょうか。そのようなときにお勧めなのが、プロが作成したデザイン集です。自分で作るよりも、美しい素材を簡単に利用できるので、図表作成に苦しむくらいなら、デザイン集を購入した方が、時間もお金も節約できます。
私が愛用しているのは、Jumsoft社のデザイン/テンプレート集です。Jumsoftでは、KeynoteやPages用に、洗練されたデザインのテンプレート集を数多く販売しており、いずれもApp Storeから購入可能です。特に、「Infographics」というKeynote用のデザイン集は、デザインで情報を伝えるための手段としてぴったりです(「Infographics」を利用するには、Keynoteが必要)。
「Infographics」は、デザイン集アプリとして販売されていますが、単体では利用できません。気に入ったインフォグラフィックスをKeynoteで開くことで初めて、Keynote上で編集可能なオブジェクトとして扱うことができます。いったんKeynoteで編集を始めれば、フォントの種類を日本語向けに変更したり、使いたいインフォグラフィックスのみをコピー&ペーストしたりと、好きなように加工できます。Jumsoftのデザイン集は、ときどきアップデートされて、新しいデザインが追加されるのも、お勧めできる点です。