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人間が主役のデータインフォームド経営とは

JR西日本がコロナ禍の経営危機から脱却できた理由──リアルな場でのデータ活用に欠かせないゾクセイとは

【前編】ゲスト:西日本旅客鉄道株式社 マーケティング本部WESTER経済圏 課長 徳山和久氏

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 本連載は「あらゆる判断を、Data-Informedに。」をパーパスに掲げる株式会社ギックスのメンバーと企業の担当者の対談を通じて、データに基づく判断・意思決定「データインフォームド」はいかにして可能なのかを探る。連載第一回のゲストは、西日本旅客鉄道株式社(以下、JR西日本)のマーケティング本部 WESTER経済圏 課長である徳山和久氏。JR西日本は2020年から続くデジタル変革の取り組みにおいて、ギックスと数々のコラボレーションを手がけている。本記事では、その取り組みの全体像が語られた。ナビゲーターは、株式会社ギックス 執行役員 Data-Informed事業 副本部長 兼 ゾクセイ研究所 所長の山田洋氏。数回に分けて、ギックスとJR西日本の数名の責任者の対談を掲載する。

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本業の鉄道本部と肩を並べる新組織「マーケティング本部」

──まずはお二人の自己紹介をお願いします。

徳山和久氏(以下、敬称略):JR西日本の徳山です。私は2002年にJR西日本に入社し、駅員、運転士、運行管理などの鉄道業務に携わったのち、鉄道の利用促進を担う部署でコールセンター子会社の設立や商品企画、施策立案に従事しました。その際に、JR西日本のIC乗車券「ICOCA」のモバイルサービスの開発など、デジタル活用の事業にも複数携わっています。そして、2024年にグループのマーケティング力強化を目的に設置された「マーケティング本部」に異動し、現在はグループ共通ポイントサービスである「WESTERポイント」の流通量拡大やグループ共通IDを基軸としたマーケティングなどに取り組んでいます。

山田洋氏(以下、敬称略):ギックス執行役員の山田です。ギックスには2015年に入社して、主にデータ分析に携わっています。ギックスに入社するまでは、データ分析についてはほぼ未経験で、それ以前の専門は有機化学でした。名古屋大学大学院で博士後期課程を修了後、事業会社で研究員として勤務しています。ただ、仮説を立てたり、その仮説を検証したりといったデータ分析のプロセスは、有機化学の研究と似たものを感じていますし、私自身の独自性でもあると思っています。

──JR西日本とギックスはさまざまなコラボレーションをしていますが、お二人の最初の接点は?

徳山:山田さんには、2023年の夏ころから、私の担当するマーケティング領域でさまざまな支援を受けています。私自身、前任の鉄道の利用促進の部署では、マス向けのマーケティングやPRが中心だったので、デジタル活用によるOne to Oneのマーケティングに精通しているわけではありません。そのため、山田さんに知見を補ってもらいながら、協力してサービス開発や施策立案を実行しています。

──近年、JR西日本は活発に組織再編を行なっています。直近の組織再編の変遷とマーケティング本部の位置付けをお聞かせください。

徳山:従来、JR西日本の事業部門は、大別すると鉄道事業を担う鉄道本部と、不動産やショッピングセンターなどの非鉄道事業を担う創造本部の2つの本部で構成されていました。

 しかし、2020年にデジタルやデータの利活用促進などを目的に、新たな本部としてデジタルソリューション本部を設置。次いで、2022年に創造本部の機能を再編成する形で、まちづくりや地域連携などを担う地域まちづくり本部が設置され、さらに2024年に私が所属するマーケティング本部が設置されました。

 マーケティング本部の成り立ちとしては、鉄道本部内の営業本部とグループマーケティング推進部という2つの部門を統合して設置されています。従来は、鉄道事業に紐付く形で実施していたマーケティング活動を、グループや事業全体で展開し価値向上を図りたいというのが、設置の趣旨です。マーケティング本部の本部長は社長の長谷川(一明氏)が兼任しています。

徳山和久
西日本旅客鉄道株式社 マーケティング本部WESTER経済圏 課長 徳山和久氏

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この記事の著者

島袋 龍太(シマブクロ リュウタ)

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