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「新規事業提案制度」事務局運営のリアル

ENEOSが目指す“価値創出”──「Challenge X」事務局に聞く、挑戦者を支援しつづける工夫

ゲスト:ENEOS 大間知孝博氏、堀尾聡裕氏(前編)

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 多くの企業が設けるようになってきている新規事業提案制度。毎年多くのアイデアを集めていたり、事業化や会社化まで至っていたりと取り組みが進んでいる新規事業提案制度は、運営においてどんな試行錯誤や工夫がなされているのでしょうか。本連載では、イノベーション鈴木氏がホストとなり、先駆的な試みを実施している新規事業提案制度の事務局運営者との対談を通じて、新規事業提案制度の運営のヒントを探ります。今回のゲストは、ENEOSの社内ベンチャープログラム「Challenge X」の事務局を務める大間知孝博氏と堀尾聡裕氏。前編ではChallenge Xの制度設計や、挑戦者を支えるための工夫について詳しく伺います。※2025年3月取材、所属は取材時のものです。

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社員主導の事業創出が“挑戦”と“変革”の起点

イノベーション鈴木氏(以下、イノベーション):今回ご登場いただくENEOSに対しては新規事業提案制度の運営における本気度を強く感じており、スタートアップ連携の場などで、ぜひご一緒したかった企業です。とりわけ社内ベンチャープログラム「Challenge X」は、制度運営を超えて企業文化の変革を推進する仕掛けとして注目してきました。まずは、お二人のキャリアを踏まえ、Challenge Xへの関わりを伺えますか。

大間知孝博氏(以下、大間知):私は2021年に未来事業推進部に配属され、約4年間こちらで働いています。その前は潤滑油部門で24年、中でも営業部では、同じ商品であっても、新たなチャネルを開拓していくようなビジネスモデル構築に従事してきました。未来事業推進部に来てからは、既存のものを拡大するというよりも、新しいものを創っていく新規事業の仕事に取り組んでいます。なお、2025年度からは潤滑油部門に戻ることになっています。

 私たちの部署では、いわゆるCVCとしてスタートアップへの投資や成長支援を行うとともに、社内の新規事業提案制度Challenge Xを運営しています。年間約2件の優秀提案者を選出し、未来事業推進部に異動してもらった上で2年間の事業化プログラムに取り組んでいただいています。また、投資したスタートアップとの協業による事業開発も進めています。

堀尾聡裕氏(以下、堀尾):私は製鉄会社、次に化学繊維会社を経て、2017年にENEOSに入社しました。未来事業推進部には2021年度から所属しています。キャリア的には経理財務や企画畑が長く、事業の数値面に関わる仕事が多かったのですが、起業家へのファイナンスを通じて企業と社会にイノベーションを興していく取り組みの魅力に気づき、現在は未来事業推進部の事業推進4グループでChallenge Xの事務局を務めています。

 なお、未来事業推進部自体は2024年度末に再編されることが決まっており、ENEOSのCVC活動やChallenge Xといった制度は経営企画部へ、事業開発機能は中央技術研究所の事業開発組織に統合される予定です。部署の形は変わりますが、機能としては継続していきます。

ENEOSホールディングス株式会社 未来事業推進部 事業推進4グループ マネージャー 堀尾聡裕氏
ENEOSホールディングス株式会社 未来事業推進部 事業推進4グループ マネージャー 堀尾聡裕氏

イノベーション:お二人とも既存事業での経験の中でも新規事業への関心を持たれてきた点が興味深いですね。ENEOSは「エネルギー」「素材」「資源」の3領域を主軸とする企業集団ですが、あらためてどのような企業ビジョンを持たれているのかお聞かせください。

堀尾:現在ENEOSは、地球規模の課題であるカーボンニュートラルという社会的要請の中で、引き続きエネルギー・素材を安定供給していくという非常に困難な課題に直面しています。こうした中で新しい事業や新しいエネルギーを開発し、明日の当たり前となるようなエネルギーや素材供給のできる企業になっていくことをビジョンとして掲げています。

イノベーション:そのような背景の中で、どのような経緯でChallenge Xを立ち上げたのでしょうか。

大間知:近年、ニューノーマル時代に新たな価値を実現するため、事業変革と事業創造が必要であるという経営視点での議論がなされていました。2019年にChallenge Xを立ち上げたのは、社員発の本気の事業化を通じて、挑戦する風土を醸成することが目的でした。

堀尾:Challenge Xの特徴は、単なるアイデア募集ではなく「社員による本気の事業化を目指すプログラム」であることです。「未来の事業創出」と、「挑戦を是とし失敗を共有する企業風土の醸成」の2つの目的あります。この両輪を回すことで、単なる制度を超えた価値創出を目指しています。

イノベーション:なるほど。風土醸成という目的を明確に据えることで、短期的な成果だけに捉われない姿勢が素晴らしいと思います。

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この記事の著者

皆本 類(ミナモト ルイ)

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