ライオンと雪印メグミルクは、プラスチックの資源循環を目指す新たな共同プロジェクトについて発表した。

両社は2024年2月から連携。雪印メグミルクの宅配サービスで使用されている「びん商品」のキャップを回収し、それを再生プラスチックとして日用品容器へ活用する可能性を検討してきた。
雪印メグミルクでは、宅配商品向けの「びん容器」をお客様から回収、工場で丁寧に洗浄して繰り返し使用する取り組みを行ってきたという。さらに、びんのキャップも一緒に回収し、これまでは植木鉢やゴミ箱の材料として再資源化。しかし、キャップのリサイクルにはさらに多くの可能性が広がっていると考えており、新たなリサイクル方法の開発が重要であると捉えていると述べた。
一方、ライオンは「LION Eco Challenge 2050」で、2030年までに石油由来のプラスチック使用率を70%以下に抑えることを目標とし、再生プラスチックを使用した日用品容器の開発を進めているという。その実現には、ライオンの品質基準を満たす、良質な再生プラスチックの入手が必要だが、日用品業界だけで確保するのは困難。そこで、雪印メグミルクとの業界を超えた連携により良質な再生プラスチックの入手を可能にし、食品容器を日用品容器へと再生する「容器から容器へのリサイクル」の実現を目指しているとのことだ。
回収から再生までのプロセス

回収プロセス:雪印メグミルク
お客様に届けた宅配商品の「びん容器」は、雪印メグミルク販売店にて回収される。雪印メグミルクは、お客様に軽く水洗いの上、空びんとキャップを合わせて返却をお願いしているという。回収後、空びんは地域ごとに工場に集められ、洗浄工程へ進み、複数回使用される。一方、キャップは日用品容器の原料になるため、びんとは別工程で処理されるとのことだ。キャップは輸送効率向上のため、まずは破砕工程に進み、破砕後、水洗いした後に専用の包装に充填。
再生プロセス:ライオン
雪印メグミルクから提供された破砕済みのキャップは、ペレットと呼ばれる粒状のプラスチックに加工される。その後、ペレットはフィルムに成形。複数のフィルムと貼り合わせるラミネート加工を経て、最終的に袋状のつめかえパックとして仕上げられるとのことだ。
一般的に多量の再生プラスチックを使用すると容器の品質が低下するため、量と品質のバランスを取った設計の最適化が重要。ライオンでは、自社の容器包装設計技術力に加え、容器包装材料メーカーの素材開発力を結集し、新たな容器開発と品質の向上に日々取り組んでいると述べた。
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