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社内発新規事業や飛び地への進出の難しさ──サントリーとTISの新規事業責任者が実践から掴んだポイント

01Booster Conference 2023 レポート

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 ここ数年で、大手企業における新規事業創出への挑戦は急速に拡大している。しかし、イノベーションを促進するために様々な施策に取り組んでみたものの、なかなか成果が出ないという悩みも多い。本稿では、2023年12月26日に開催された「01 Booster Conference 2023」から、「新たなビジネスの柱を創る組織戦略」と題したセッションの内容をお届けする。登壇したのは、TISのテクノロジー&イノベーション本部で本部長を務める北直人氏と、サントリーホールディングスで未来事業開発部のシニアアドバイザーを務める川崎益功氏。異なる業界で新規事業責任者を務める二人が実践から得た知見や課題の乗り越え方を語った。

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TISとサントリーの新規事業開発組織

鈴木規文氏(以下、敬称略):まず、お二人がどのような形で新規事業創出に携わっているのか教えていただいてもよろしいでしょうか。

北直人氏(以下、敬称略):私は、技術的なR&Dや生産性改革などを担う組織である、TISのテクノロジー&イノベーション本部で本部長を務めています。当部署の中に、「インキュベーションセンター」という組織がありまして、全社横断的な新規事業開発の取り組みを牽引しています。新規事業創出制度の運用やスタートアップとの協業促進、さらにはCVCの運営なども行っています。

鈴木:かなりマルチファンクションな部署になっているのですね。R&Dも担っているとのことですが、これが新規事業開発に良い影響をもたらすことはありますか。

:本業であるSI(システムインテグレーション)のエンジニアリングをやりながら、同時に新規事業開発のような極めてアジャイルな要件の開発にも挑戦することで、非常に多様な文化や考え方が組織に浸透しているのを感じます。これは、新規事業開発と本業のエンジニアリング双方にとって良い影響があります。

TIS株式会社 常務執行役員 テクノロジー&イノベーション本部長 北直人氏
TIS株式会社 常務執行役員 テクノロジー&イノベーション本部長
北直人氏

鈴木:次に川崎さん、お願いいたします。

川崎益功氏(以下、敬称略):私は1983年にサントリーに入社し、マーケティング本部で清涼飲料の商品開発に10年間、その次にビール事業部で7年間と、計17年間、新商品開発に携わりました。そして2000年に、現在はグループ会社として独立しているサントリーウエルネスの原型となる、ウエルネス事業を社内起業のような形で立ち上げました。そこから2020年まで約20年間、ウエルネス事業に携わってきました。おかげさまで、新領域ながら売上1,000億円超の事業規模に成長しています。

 現在は、サントリー本体の経営企画本部長を経て、未来事業開発部という部署でシニアアドバイザーを務めています。この部署は、ホールディングス全体で未来の新たな事業を起こすために、2020年に設立されました。

鈴木:川崎さんといえば、やはりウエルネス事業の立ち上げですよね。今、健康食品をはじめウエルネス産業の市場は物凄い規模になっています。川崎さんが最初に事業を立ち上げた2000年とは、だいぶ市場や事業の環境が変わっているのではないでしょうか。

川崎:そうですね。最近でこそD2Cといった形で市民権を得ていますが、当時はマスマーケティングの対極にあるダイレクトビジネスやOne to Oneビジネスモデルは、大企業の中ではほとんど存在しませんでした。売り切りからLTVへとパラダイムシフトしたのは大きいと思います。社会的にも社内的にも、そうした顧客との関係変化への理解が大きく進んでいると感じます。そういったことも含め、サントリーそのものが新規事業にチャレンジしやすい会社になってきているのではないかと。

鈴木:なぜですか。

川崎:やはり、こうした成功事例が出てきたのが大きいと思いますし、ヘルス&ウエルネス、ダイレクト、DXなど事業の切り口が広がったこともあります。グループとして業績が厳しかった2000年頃から、様々な種まきをしてきたことが功を奏してきた面もあります。

鈴木:ぜひ、当時のお話をお聞きしたいです。

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本来、事業開発は「やり続けなきゃいけないもの」であるはず

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この記事の著者

名須川 楓太(Biz/Zine編集部)(ナスカワ フウタ)

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