「ブロックチェーン専門チームは金融業界全体の革新的技術の活用や変革を促進」
アクセンチュアは、同時に金融機関によるブロックチェーン技術に関するソリューションの評価や導入をサポートするため、ブロックチェーン技術に関する研究開発を行うDigital Asset Holdings社と提携した。この提携を通じて、両社は銀行、証券会社、インフラサービス企業に向けの革新的なソリューションを共同で提供し、アクセンチュアはソリューションのシステム導入を担うという。
この提携に基づき、アクセンチュアはフィージビリティスタディ(事業化可能性調査)、ビジネスケース評価、オペレーティングモデル設計、およびシステムアーキテクチャ、サイバーセキュリティ対策、クラウド活用に関する助言や包括的なシステムインテグレーションといったコンサルティングサービスやテクノロジーサービスを提供する。
Digital Assetの分散型台帳ソリューションは、ポスト・トレード業務の効率性向上やセキュリティの強化だけでなく、オペレーティングコストの削減、取引所要時間の短縮、エラーとリスクの低減、さらに資本要件の引き下げを可能にするもの。
アクセンチュアとの提携により、Digital Assetは、同社の事業領域および顧客との接点拡大が可能になる。両社が持つ技術的、人的資源や、業界に関する知見を組み合わせることで、全世界の顧客にソリューションを提供する。なお、Digital Assetは、投資ラウンドにより6,000万ドル超を資金調達しており、アクセンチュアもこれに参加している。
アクセンチュア グローバル・キャピタル・マーケッツ事業を率いるマネジング・ディレクターのオーウェン・ジェルフ氏は、「ブロックチェーン技術は、今後10年間で金融機関に膨大なメリットをもたらすと考えられています。アクセンチュアのブロックチェーン専門チームは、金融業界全体におけるこの革新的技術の活用や変革を促進します。今回のDigital Assetへの出資と提携により、金融機関におけるブロックチェーン技術の活用を促進してまいります」と述べている。
アクセンチュアのブロックチェーン専門チームは、世界中で展開している「ストラテジー」「コンサルティング」「デジタル」「テクノロジー」「オペレーションズ」各本部のリソースを集結させ、分散型台帳を活用したビジネス戦略の策定、ビジネスモデル変革の実行、テクノロジーアーキテクチャの構築と統制、そして顧客体験の向上を支援する。
Digital AssetのCEOを務めるブライス・マスターズ氏は、「アクセンチュアは、大規模なシステム変革と複雑なインフラ構築において高い評価を受ける業界のリーダーです。本提携により、ブロックチェーン技術の導入を世界的に加速させることが可能になりました。当社の製品とソフトウェアに加えて、アクセンチュアが持つ、新たなテクノロジーを既存システムに統合させる専門性を融合することで、金融機関に対して、決済時間の短縮、オペレーティングコスト削減、そして資本要件の引き下げが可能になります」と述べている。
ブロックチェーンの活用促進をめざすオープンソースプロジェクト
アクセンチュアは、ブロックチェーン技術が世界の資本市場に多大な影響を与える可能性があるとの認識のもと、複数の主要な活動に参画し投資を行ってきた。2016年2月には、ブロックチェーンの活用促進をめざすオープンソースプロジェクト「Linux Hyperledgerプロジェクト」のプレミアメンバーとなった。
このプログラムには、Digital Assetホールディングス社など20社以上が参画。さらに、アクセンチュアはフランスのニース近郊にブロックチェーンと分配型台帳機能に関する技術と事業の専門知識を提供する「Blockchain Center of Excellence」を設立したほか、国際送金ソリューションを提供するRipple社とも戦略的な提携を結んだ。
ブロックチェーン技術は2021年までに金融業界のオペレーティングコストを、少なく見積もっても年間200億ドル以上削減できると推測されている。調査会社のAite Groupは、ブロックチェーンを活用する新たな金融テクノロジーに対する投資額は2019年に4億ドルに達し、2015年の7,500万ドルと比べ、今後4年間で5倍以上に拡大すると予測している。
アクセンチュア キャピタル・マーケッツ・ブロックチェーン専門チームでマネジング・ディレクター務めるデイヴィッド・トリート氏は、「ブロックチェーンと分散型台帳技術を活用すれば、金融機関は高コストで非効率なリコンサイル(残高照合)を前提とした発想から脱却できるでしょう。アクセンチュアの新たな事業は、グローバル・キャピタル・マーケッツ事業における力強い成長をベースに、お客さまが商品企画から市場に投入するまでの期間を短縮させ、オペレーション効率の改善と新たな収益源の確保の可能性をもたらします」と述べている。