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【出張版】M&A Online

「M&Aからベンチャーへのスイッチ投資」で成功するKDDI

M&AアーカイブスVol.2 KDDI<9433>

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KDDIにおける「M&A期」と「ベンチャー投資期」をデータで比較する

KDDIの財務状況と従業員の推移

 次に、売上高構成比率と従業員構成比率の変化について考察を行う。
 01年のKDDI発足当初と15年現在では、事業ポートフォリオが大きく変化していることが分かる。

KDDI:売上高構成比率

KDDI:従業員構成比率

 セグメントの見直しを実施しているため、01年と15年での単純な比較は難しいが、セルラーグループの合併やジュピターテレコム買収などの大型M&Aによって、主要事業である個人客向けソリューションが大幅に強化されている。単純な売上高の積み増しもさることながら、少ない人的資源によって効率的な営業活動が実を結んでいることが推察される。01年に1人当たりの売上高が2億8000万円であるのに対し、15年には2億4000万円となっており、同指標においては経営効率が悪くなっているが、同業他社の同種セグメントと比較しても1人当たりの売上高が1億円近く高いため、営業的効率性が高いことが分かる。

 また、東京電力や中部電力からの通信事業の買収を通じて、法人向けのソリューションや海外向けのサービスについても強化を図っており、人的資源も投入し、着実に売り上げを確保している。

 このような大型のM&Aが行われているものの、KDDIの財務状況は非常に安定しており、自己資本比率も高い水準を維持している。

■総資産総額の推移

KDDI:総資産総額の推移

 06年3月期まではグループの再編に注力し、体制づくりを実施していた関係で、総資産額が減少傾向にあったものと見られる。06年3月期以降も大型M&A案件は1年に1度のペースで取り組んでいるが、毎年資産の蓄積を行うことができており、自己資本比率も50%台を10年間維持している。その裏では、モバイル・通信市場の拡大の予測を基にM&Aに取り組むマクロな視点があったのではないだろうか。

 のれんも無理のない範囲で償却されており、直近でも営業利益に対して4%と、損益への影響も軽微なものとなっている。また、のれんの残高は減少傾向にあり、総資産に占める割合も1%を切っている。これらのことからも綿密な計画に基づいた買収金額の設定を行ってきたことがうかがえる。

■のれんの推移

のれんの推移

 一方で、10年代から積極的に取り組んでいるベンチャー投資については、将来的にKDDIの売り上げに貢献する存在となっていくと予測できる。特に、単体での売り上げも期待できるが、「au」ブランド強化の一環として活用している面が強いのではないだろうか。売上高の70%以上を占める個人向けソリューションを今後もKDDIの要として機能させる上では、他社との差別化は非常に重要となってくる。NTTドコモやソフトバンクも積極的に投資に向かっている状況を鑑みると、このベンチャー投資のトレンドは、しばらく続くことになるであろう。

この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

本記事は、M&A Onlineに掲載された記事を再編集して掲載しております。

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