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フィンテック投資は欧州とアジアが牽引し2016年も拡大継続――アクセンチュアの最新調査

第1四半期の投資額は前年同期比67%増の53億ドルで、62%は欧州とアジアが占める

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 アクセンチュアが4月13日に発表した最新調査によると、グローバルにおける2016年第1四半期のフィンテック投資額は、前年同期比67%増の53億ドルに達した。そのうち、欧州とアジア・パシフィック地域は、前年同期比が約2倍となり、62%を占める結果となった。

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 アクセンチュアは、グローバルのフィンテック投資に関するトレンドを分析した最新レポート「Fintech and the Evolving Landscape(フィンテック、発展する市場環境)」でその詳細を示している。

 アクセンチュア金融サービス本部のグループ・チーフ・エグゼクティブを務めるリチャード・ラム氏は次のように述べている。

 「フィンテックによるイノベーションは、伝統的なテクノロジー企業の集積地にとどまらない拡大を見せています。ロボティクス、ブロックチェーン技術、インターネット・オブ・シングス(IoT)などの先進的テクノロジーは、地理的制約を受けることはありません。革新的アイデアを自社に取り込み、サービスの質や効率性向上のために活用され、ビジネスにおける高い適応力によって浸透しています。この「第4次産業革命」と言うべき動きは、新たなイノベーションと、伝統的金融機関と競合または共生するデジタル企業を創出しています。銀行は、この動きから大きな恩恵を受けることにつながります」

ディスラプティブ(破壊)か、コラボレーティブ(共生)か

 主に金融機関をサービスの提供先とする「共生型」フィンテック企業は、自ら市場参入し金融機関と競合する「破壊型」フィンテック企業よりも優勢になりつつあることをこのレポートでは示している。

 共生型のフィンテック投資は、2010年にはフィンテック投資総額の38%を占めていたが、2015年には44%に拡大している。この6年間において、北米での共生型フィンテック投資は、より飛躍的に伸びており、40%から60%に達している。その一方で、欧州では逆に、破壊型のフィンテック投資の割合は2010年の62%から2015年には86%に拡大している。

 アクセンチュア金融サービス本部のマネジング・ディレクターであり、ロンドン先進金融テクノロジーラボ(FinTech Innovation Lab London)を統括するジュリアン・スカン氏は、次のように述べている。

 「欧州とアジアにおいて、金融機関と競合するフィンテック企業の割合は、北米を大きく上回っています。これは特にロンドンを除く欧州・アジア地域でフィンテック市場が未成熟であることを示唆しています。ロンドンにおける緩和的な規制環境は、金融機関と競合するフィンテック企業が自社のアイデアをテストするのに適した環境を作り出しています。こうした環境は、銀行にとっても自らの能力を再定義していく上での推進力となっています」

 このレポートでは、いわゆる破壊型フィンテック企業が、当初は銀行と競合するものの、最終的には銀行からの出資や買収、提携を通じて銀行との共生に転じるケースが多く見られることも明らかにしている。具体的には、BBVAが出資し、2016年4月にロンドンで開業したモバイル専業銀行であるAtomが例としてあげられる。

 また、共生型フィンテック企業向けの投資の割合が高まっている一方で、銀行自身による投資は相対的に少なく、2015年における投資総額223億ドルのうち50億ドルだった。これに対し、銀行によるフィンテック関連の内部投資は500億ドルから700億ドルと推定されている。

 ジュリアン・スカン氏は、次のように述べている。

 「共生か競合かを問わず、フィンテックのもたらす創造的破壊を目利きして取り込むことに優れた銀行は、消費者が先進的な小売企業やテクノロジー企業に期待するようなデジタルイノベーションを生みだし、競合他社を大きく上回る成長を達成できるでしょう」

2015年の世界全体でのフィンテック投資は75%増加し、220億ドルを超過

 このレポートでは、2015年のグローバルにおけるフィンテック投資額は、前年比75%増となる96億ドル増加し、およそ223億ドルに達したことを示している。こうした市場拡大をもたらしたのは、世界最大の市場である北米において、比較的穏やかな成長とはいえ新たに45億ドル(44%増)の資金調達があったこと、中国において前年比445%増となる20億ドル近い資金調達の急成長があったことが挙げられる。その他にも、インド(16億5,000万ドル)、ドイツ(7億7,000万ドル)、アイルランド(6億3,100万ドル)において調達額の大きな伸びが確認されている。

  • 欧州では、2014年から2015年でフィンテック投資が2倍以上(120%増)に拡大し、案件数も51%増加している。ドイツにおけるフィンテック投資は同期間に843%もの増加を示している。
  • アジア・パシフィック地域では、2015年のフィンテック投資が4倍以上の成長を遂げ、43億ドルに達している。このうちの大部分は中国(19億7,000万ドル)とインド(16億5,000万ドル)が占めている。2016年の第1四半期の投資額は前年同期の4億4,500万ドルから27億ドルへと517%拡大し、この伸びのほとんどは中国でのフィンテック投資によるもの。
  • 北米では、2015年のフィンテック投資が44%増加し、148億ドルに達している。中でも米国は投資案件数で16%増の667件となり、引き続き最重要な市場としての地位を維持している。
  • また、フィンテック市場が成熟するにつれ、グローバルで大規模な案件が増加している。5,000万ドルを超える投資案件は2013年の15件、2014年の52件から、2015年には94件に達している。

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BizZine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

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