TCDは、同社の調査研究ユニット「Culture Insight Labo」において、全国の企業に勤める696名(従業員数21名以上/理念策定済み企業所属)を対象に、企業理念浸透の実態に関する調査を実施した。

企業理念をはっきり覚えているのは14%、現場と管理職以上の認知ギャップ大

企業理念の認知度について尋ねたところ、経営層・管理職の40.3%が「はっきり覚えている」と回答したのに対し、正社員の確実認知層は14.3%まで低下。
社員の意識を望ましい方向に導くインナーブランディングを推進するためには、「認知・共感・実践」の3つのフェーズを経る必要だが、その入口である「認知」が不十分だとその先フェーズである「共感」や理念の「実践」の足かせになる。現場の主力となる正社員の認知度の低さは喫緊の課題であると言える。
企業理念へ強く共感、意識する一般社員は1桁台と低水準
正社員と契約/派遣社員の中で、理念に「とても共感している」・日常業務で理念を「よく意識している」と回答した人はいずれも1桁台にとどまった。理念を自分事として捉え、その内容に納得感や親近感を抱くことが「共感」形成の鍵。「共感」されない企業理念は「実践」には結びつかないため、企業理念の社内浸透における最も重要なKPIは「共感」のスコアアップだと考えられる。
今回の調査結果から、理念浸透という課題を乗り越え組織で生かすために必要な3つのポイントが明らかになった。
①思い出せるシンプルさ
- 横文字・難しい言い回しは最小限にし、新入社員でも一瞬で理解できる言葉にする
- 漠然とした内容ではなく、日々の具体的な行動につながりやすいように提示する
②語れるストーリー化
- 社員が理念を自分ごととして捉え、入社動機やキャリア形成の基盤に結びつけられるようにする
- 経営層だけでなく、現場の社員も自身の言葉で自信を持って語れるような、納得感のある内容にする
③行動につながる仕組み
- 理念を日々の業務における判断基準や具体的な行動指針として機能させる
- 社員が理念を記憶するだけでなく、実践へと落とし込めるような運用を徹底する
- 理念の実践が社員のモチベーション向上につながるよう、理念に基づいた評価・表彰を行う
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