社会性とビジネスとしての可能性を兼ね備えた構想に惹かれ「お金のデザイン」にジョイン
池見(株式会社grooves 代表取締役):
2045年に「シンギュラリティ」が来て人間の仕事は人工知能に奪われてしまうのではないかという議論がありますが、御社の「ロボアドバイザー」はまさにそういう流れですよね。そこが非常に面白いと思い、インタビューをお願いしました。まずは簡単に自己紹介をお願いします。
北澤(株式会社お金のデザインCOO/弁護士):
「お金のデザイン」は2013年8月に設立され、私は直後の2014年から参画し、取締役COOという役割を担っています。
私の最初の仕事は弁護士です。専門性を武器に個を発揮できることや社会性の高さに惹かれ、日本とニューヨークでの弁護士資格を取りました。語学力と法律知識で日系企業を手助けしたいという夢もあって外資系の弁護士事務所に所属し、日米で6年ほどM&Aや不動産証券化といった法律業務をやっていました。ところが、ニューヨークに行ったのが折しもリーマン・ショックの手前で景気が悪く、志半ばで日本に戻ってきました。
帰国後は弁護士ではなく投資銀行員として、モルガン・スタンレー証券へ。それは「自分でドライバーズシートに座って仕事をしたい」という思いがあったからです。投資銀行員という仕事ではドライバーズシートに座るのはお客様ですが、その助手席くらいの位置で色々できるので、すごく面白かったですね。
「お金のデザイン」の創業者の谷家衛(たにや・まもる)と知り合ったのは、モルガン・スタンレーで6年ほど仕事をした2014年の初頭です。人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」のチャリティパーティで知人に紹介されたのがきっかけです。その時に「ちょっと遊びにおいでよ」と言われて「一体なんだろう?」と思ったのですが、私としては伝説の投資家の話を聞いてみたいという気持ちで行きました。
池見:
ソロモン・ブラザーズでの活躍を始め、有名な方ですからね。
北澤:
そうなんです。どういう人なのかなという興味があって。いろいろな話をしているうちに谷家から「モルガン・スタンレーにいつまでいるの?」と聞かれました。ちょっと格好をつけたいという気持ちもあって「50歳になったら世のため人のために働こうと思っています。そのためにはお金も必要なので、向こう10年間は投資銀行で死ぬほど働いて稼ぎます」と答えたら、「面白いね。ただ、社会のためになる仕事なら、今すぐにできるよ」と。それで「お金のデザイン」の構想を聞いたのですが、それは私がやりたかった金融という立場から社会貢献するということに非常に合致していたことに加え、ビジネスとしての可能性も感じました。「これは面白そうだ」と思ったものの、当時の仕事や収入のこともあったので1ヶ月くらい考えましたね。最終的には、CEOの廣瀬(共同創業者の廣瀬朋由氏)も非常に誠実に「正しいことをやりたい」という想いで参画しているということに感銘を受け、関わることを決めたんです。