「GQMモデル」-適切な質問から必要な指標を見極める
適切なゴールとそのゴールに結び付いた具体的な目標を設定するために、「GQMモデル」と「SMARTフレームワーク」という2つのツールをご紹介します。まずは、GQMモデルについてご説明していきましょう。これは、ゴール(Goal)から適切な質問(Question)を導き出すことによって、具体的な指標(Metric)を明確にするための考え方であり、米国のメリーランド大学の教授によって提起されたものです。大規模なソフトウェア開発プロジェクトで採用されることが多いようですが、ビジネスにも十分利用できるものです(図4)。
最初に、自社の外部および内部の影響要因のアセスメント(強みと弱み、機会と脅威)で明確にされた重要成功要因によって動機付けられ、戦略によって取り組まれるべきゴールを設定していきます。ゴールは、さらに「視点」、「対象」、「課題」、「意図」という4つの要素に分解します(図5)。
「視点」に関していえば、ビジネスモデルを既に構築している皆さんにとっては、プロダクト革新、顧客インターフェース、オペレーション基盤、財務構造の4つの柱から選択すれば良いでしょう。「顧客の視点から、ターゲット顧客のロイヤルティを増やす」、「プロダクトの視点から、新製品の投入量を増やす」、「財務の視点から、間接コストの金額を減らす」などは、分かりやすい例といえるでしょう。
また、BSC(バランスト・スコアカード)を活用している企業は、財務、顧客、プロセス、イノベーションと学習という視点でも構いません。さらに、「対象」や「課題」はビジネスモデルの各要素の属性からピックアップすることも可能です。たとえば、顧客インターフェースの柱の中には顧客リレーションシップがありましたよね。顧客リレーションシップには、新規獲得、顧客維持、追加販売という3つのタイプがあります。これにより、「顧客インターフェースの視点から、顧客維持の割合を改善する」というゴールを設定することができます。
次に、適切な指標を発見するために3つのタイプの質問をします。1つ目は、「その対象の課題に関する質や量についての質問」です。2つ目は、「現行におけるその成熟度(一貫性や安定性含む)についての質問」です。3つ目は、「現在に至るまでの学習プロセス(改善度や環境変化への適応性含む)に関する質問」です。
最後に、3つのタイプの質問に対する回答となる適切な指標を見つけていきます。ある質問に対して、複数の指標があるかもしれませんし、ある指標が複数の質問の回答となることもあるかもしれません。ゴールに対する質問と指標の簡単な例を示してみました(図6)。
さて、適切な指標が見つかったところで、ゴールを定量化するための目標を設定していきましょう。