先行指標と遅行指標に気をつけろ!経営指標の罠
これまでご説明してきたことを一度整理しますと、「ゴールに対する質問から指標を明確にし、その指標に対するターゲット値と期限を定めることによって目標が明確になる」ということになります。
ところで、この指標というものが少し曲者でして、指標には「先行指標」と「遅行指標」という2つのタイプがあります。多くの企業は、「今年度は、売上高100億円を達成する」といった目標を立てます。売上高や利益率のような財務指標は、遅行指標の典型です。
BSC(バランスト・スコアカード)では、先行指標と遅行指標を上手くミックスさせることを推奨しています。つまり、「財務指標だけを見て経営を行うことは、バックミラーを眺めて車の運転をするのと同じである」という忠告を促しているのです。これをビジネスモデルの4つの柱に置き換えてみました(図8)。
このサンプルでいえば、サイクルタイムが、他の3つの指標の先行指標となると同時に、売上高利益率が最終的な遅行指標となります。先行指標と遅行指標を可視化するために、昨年ご紹介した「因果ループ図」が役立つかもしれません。
まとめ
ゴールと目標のまとめをしていきましょう。ゴールは、「視点、対象、課題、意図」という4つの視点から明確にしていきます、次に、そのゴールから「質問」を導き出し、その質問の回答としての「指標」を明確にします。さらに、その指標に対するターゲット値と期限を決定することによって目標を明確にします。その目標はSMARTの5つの基準を満たしていることを確認する必要があります(図9)。
最後に、宅配ピザ屋さんを例にしたゴールと目標を示します(図10)。概念モデルを活用することにより、複雑なビジネスの構造を可視化し、各々の要素の関係性をチェックすることができるようになります。