トークンとインセンティブの設計
ところで、こうした自律分散型組織が機能するための最大のエンジンとなるのはコイン(トークン)である。コインがどのように新規発行され、流通するかを設計することで、人のインセンティブを生み出すことも可能になる。
筆者も関わっている共同研究プロジェクトでは、地域社会の発展にブロックチェーンを活用する研究を行っている**。2016年11月3日、会津若松市でこの研究の一環となる実証実験が行われた。ブロックチェーンを用いて発行・管理される「萌貨」と呼ばれる通貨は、「福島萌祭」***というイベントの来場者同士が、互いにコミュニケーションを行うことで、それぞれに新規で「萌貨」という通貨が一定額発行される(実際には参加者がスマートフォンを振ってQRコードを表示し、読み込むことで処理が行われる。(図4参照。)。このケースでは、地域において、知らない者どうしても言葉を交わすことが地域への「貢献」であり、「価値」であると考えられる。人が交流することに対して通貨を発行することで、地域における人の交流を促進するというアイデアである。