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AI時代に生き残れるのは「考える会計」だ――日本CFO協会中澤さん

Business Book Acadey 2016.10.25 セミナーレポート

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いまこそ「発生源入力」が可能となる

 30数年間、IT業界に身を置いてきた中澤さんは、会計システムついても現場から見続けてきた。その上で、モバイルやクラウドコンピューティングをベースにしたシステムの変化について語る。広義には会計システムの一部となる、経費精算や現金処理の仕組みについても昔からの課題だったと言う。

90年代の会計システムの再構築の際に「発生源入力システム」はプロジェクトの目玉であり大きな課題でした。経理や管理部門での支払い伝票や請求書の処理の業務効率化のために現場でデータ入力をしましょうという流れになるのですが、これがなかなか進まなかった。それが今、劇的に変わりました。現場の社員がスマホでいつでもどこでピッピッピッと入力出来る。90年代当時は、「現場にキーボード叩かせるのかよ」とか、「俺、経理のために仕事してないぞ」と言われたものです。それに比べると様変わりですよね。

 コンピュータのハードウェアの能力、ネットワークの速度、ソフトウェアの機能も格段に進化した。これによって経営管理のやり口も変化してくる。例えば、仕訳明細や取引明細などを直接にハンドリングできる世界が来ているという。

 中澤さんは、80年代のIBM時代に会計システムのデータ処理において、取引データだけを物理データとし、仕訳明細も補助簿類も全て論理ファイルとして扱う事を考えたが、当時のマシンパワーでは実現出来なかったという。それが今では可能な時代となっている。さらにAI、IoT、ビッグデータの世界が絡んでくる。これによって会計、経理のITにも革新が訪れるだろうと予測する。

会計・経理のAI時代の生き残りをかけて

AIに関する本を読むと、機械によってなくなる仕事の上位に会計士や経理事務職が必ずあります。弁護士などもそうですが、調べるだけの仕事だと結局そうなりますね。人の役割、強みとは何か。経理マンで考えますと、「調べて記録する経理マン」ではなくて「考える経理マン」。これはIFRSの原則主義にもまさに合致すると思います。監査法人の先生に、「売上基準はどうしましょうか」と聞いたら、普通は「検収基準にして下さい」とコンサバティブな返事しか返って来ません。それに対して経理マンが「いやいや、出荷基準で売り上げ立てられますよ。例えば過去5年間一度の返品もありませんでした」とか話すと、監査法人の先生もOKしてくれる可能性が高くなるわけです。こちらから提案することが大切なのです。そういうことを考えるのがわれわれ経理部門の仕事になってくると思います。

 大きな変化のベクトルとしては「記録するIT」から「企業活動に直接的に関与するITへ」なのだという。

これまでの記録するIT、SoR(System of Record)というものから、活動に直接的に関与するIT、SoE(System of Engagement)という変化です。

 ただし企業には悩ましい問題がある。昔から延々と維持してきたSoRの代表格である管理系基幹システムをどう再構築していくかだ。例えば、売掛金システムというのは往々にして販売管理システムと複雑に入り組んでいる。会計システムの一部として位置付けられない場合が多い。単純に会計パッケージの売掛金モジュールで置き換えれば良いというものではない。また、各部門に蓄積されたデータがサイロ化してしまっていることだ。これら記録するITの分野についてはAI、IoT等とは異なる取り組み方の難しさがあると中澤さんは言う。

会計情報システムというのは、これからのグローバル化の経営基盤のインフラになるものです。これは投資対効果の判断が中々難しい。言ってみれば今政府が推進しております国土強靭化計画みたいなものです。過去のシステムライフを考えると数十年先まで見越したものとして考えてよいではないでしょうか。であれば、その年数で償却していく発想を持てば良いでしょう。いずれにしてもトップによる長期的な判断が必要となります。現場からのボトムアップでやるのは無理があります。

 金融経済の加速に、テクノロジーが加わり、財務・会計や管理部門のリーダーの要件も大きく変わる。「経営管理や経理財務部門の方々もっともっと頑張っていただきたい。AIの時代に生き残るためには、考える経理、共感を呼ぶ経理になっていただきたい」と語り、中澤さんは講演を終えた。

 本セミナーの講演資料を無料ダウンロードいただけます。
1.日本CFO協会 中澤進氏資料「変貌する会計環境とCFOの役割」
2.日立システムズ 鈴木 孝輔氏資料「日本の出張経費精算市場を徹底解説」
3.日立システムズ「Traveler'sWAN」インタビュー記事
ダウンロードはこちら

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この記事の著者

BizZine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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