ツクルバが「co-ba」「hacocoro」「cowcamo」で目指すこと
宇田川(埼玉大学 人文社会科学研究科 准教授):
中村さんには色々とお聞きしたいことがあるのですが、まずはツクルバがどんなビジネスをやっていて、どんなことを目指しているのか、お話しいただけますか。
中村(株式会社ツクルバ 代表取締役CCO):
ツクルバは2011年8月に創業し、もうすぐ丸6年になります。初めに「co-ba*1」というコワーキングスペースを作りました。その後に「hacocoro*2」というパーティースペース事業を始めるなど、最初は“実空間寄り”なビジネスモデルでやっていましたが、2年前から3つ目の事業として「cowcamo*3」というリノベーション住宅に特化した不動産のオンライン流通サービスを始めました。そこからVCの資金も入れて、中小企業的な会社が、いわゆるスタートアップ的なものになっていったという感じです。
hacocoroは現在、関連会社の株式会社APTが運営しているので、ツクルバとして直でやっているのは「co-ba」と「cowcamo」、あとは「tsukuruba design*4」と「tsukuruba technology*5」という事業横断型の組織があります。「tsukuruba design」は、空間デザイン、プロデュースをやっています。僕自身もともと建築出身なので、建築と不動産をオーバーラップさせながら場所作りをしていくというところがやりたくて。
「tsukuruba technology」はエンジニア、デザイナーで構成される情報空間のクリエイションチームです。あそこの壁にレコードを飾ってありますけど、彼らが開発にあたるプロジェクトに、歴史的な名盤からとったプロジェクトネームをつけています。「アビイ・ロード」から始まって、頭文字をAからZまで順に揃えていこうということで、プロジェクトが終わるたびに本当のLPを買って並べていく。デジタルで形のないものを作ることが多いので、ああやって形に残しながらプロジェクトを進めていっているんです。
宇田川:
「co-ba」は渋谷が最初で、他にもたくさんあるんですよね?
中村:
今は16箇所ほど、日本各地に広がっています。渋谷は直営で、それ以外は各地のオーナーさんが独自で運営をしています。デザインも、都内では僕らがやることも多いですけど、地方の場合は原則、地元のデザイナーとやってくださいと言っていて、各地の「co-ba」が全然違うキャラクターを持っているんですよ。
武井(ダイヤモンドメディア株式会社 代表取締役 共同創業者):
デザインの地産地消みたいな感じですね。「co-ba」というブランドで、コンセプトは同じということですか?
中村:
はい。ただ、かなり抽象化したコンセプトです。チャレンジを応援する場所であることと、地元地域のための貢献の場所や民間指導型の街づくりの場所になってほしいということ、あとはユーザーさんが相互乗り入れできるようにしましょうとか、そういういくつかの項目に共感するオーナーさんだったら暖簾分けします、という形でやっています。