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クリエイティビティ再考

クリエイティブ思考の源流を求めて──「発想法」としてのKJ法とは?

【特別対談】北陸先端科学技術大学院大学 名誉教授 國藤進 氏 × 大阪ガス 行動観察研究所 安松健 氏

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 多くのワークショップで実施されるKJ法は、川喜田二郎氏により考案された手法で、その著書の『発想法』は1967年と50年前に刊行されている。50年前に日本で生まれたクリエイティブ思考とその流れを追い求め、北陸先端大学 國藤進 先生にお話をお伺いした。

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デザイン思考の起源は日本にあり!?

安松健(大阪ガス 行動観察研究所 研究員):
 國藤先生のご略歴ですが、

  • KJ法創始者の川喜田二郎氏にKJ法*1を学び、川喜田氏・牧島氏らと共に『問題解決学―KJ法ワークブック』を執筆、23 版までつづくベストセラーに(東京工業大学在学時)
  • 富士通(株)国際情報社会科学研究所に入所、国家プロジェクト『第五世代コンピュータプロジェクト』グループリーダー、北陸先端科学技術大学院大学教授・副学長、日本創造学会理事長・会長等を歴任。博士(工学)
  • 専門は創造性支援グループウェア、知識創造方法論、グループ知識創造教育
  • 著書には『知識基盤社会のための人工知能入門』(コロナ社、共著)など
  • 現在、北陸先端科学技術大学院大学 名誉教授、非常勤講師、JAIST大学院大学調査研究機構・監事

というように、発想法・クリエイティブ思考、知識創造、イノベーション、人工知能(AI)などの分野で、名実ともに多大なるご功績を残していらっしゃるわけですが、その中でも今回特に詳しくお伺いしたいのは、國藤先生の研究室から実際に多くのビジネスアイデア・特許が生まれ、ベンチャー起業家を何名も輩出されていることについてです。

タイトル左上:後期課程修了生ベンチャー企業「株式会社アロマジョイン」(写真 同社Webサイトより)
右上:講義受講生ベンチャー企業「ハタブネコンサルティング株式会社」(写真 同社Collegium Webサイトより)
左下:商品化例「先端」(写真 宮本酒造店 Webサイトより)
右下:商品化例「もちもちカステラ」(写真 和菓子工房 日本堂 Webサイトより)

 新しい価値・イノベーションを生み出す組織・人材の開発育成は、企業の最大の課題といってもいいと思います。國藤先生が知識創造論・イノベーションデザイン方法論をどのように教授され、いかにしてクリエイティブ人材を育成されているのか、また、新しいアイデアを発想し、創造的であるためにはどうすればいいのかについて、お伺いしたいと思います。

 さて、早速ですが、クリエイティブ人材をどのようにして育成されているのでしょうか。

國藤進(北陸先端科学技術大学院大学 名誉教授):
 2014年4月から大学院向きのリベラルアーツ教育として「イノベーションデザイン方法論」という講義(現在の講義名は「イノベーションデザイン論」)を開設しました。創造思考とデザイン思考の考え方を異分野の院生たちにも体得してもらうために、3Dプリンター等によるラピッドプロトタイピングの実習もいれています。

タイトル醤油皿のレンダリング結果と3D作品
(長野澄、白川義明、ZENG Zhenチーム;谷口俊平・國藤進が指導)

安松:
 デザイン思考は、日本でも多くの大学や企業での導入・実践が進んでいます。

國藤:
 そのデザイン思考は、アメリカが日本から学んだ手法だということをご存知でしょうか。

 慶応大学システムデザイン・マネジメント研究科の前野隆司教授は、スタンフォード大学d-schoolの先生に「日本人はデザイン思考を学ぶ必要はない、デザイン思考は我々(アメリカ人)が日本人から学んだグループ思考の方式なんだよ!」と言われたとのことです(出典:日本創造学会研究大会2014基調講演)。

 また、同大学の石橋金徳特任助教からも同様の指摘をもらっています。それは、IDEOフェローも務めるバリー・カッツ教授も、日本人にわざわざデザイン思考を教育することに疑問に思っています。なぜなら、彼はマツダのデザイナーやエンジニアたちが頭と肩を寄せ合って議論しながらデザインや研究開発を行う現場をみてきました。その様子を引き合いに出しながら、日本と対極的に米国人は、個人主義化が進みすぎているので、明示的にコラボレーションとか、インターディシプリナリ―(異分野連携)だとか共感だとかを打ち出して教育する必要があると考えている、ということでした。

(編集部・注)*1:「KJ法」は(株)川喜田研究所が商標登録(登録商標日本第4867036号)しています。

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