「サブスクリプションモデル」は単なる定額制サービスではない──プライベートジェット、ギターのオンライン学習サービスまで
「2015年は、日本国内におけるサブスクリプション元年です」と語ったのは、オープニングスピーチに登壇したZuora Japan株式会社 代表取締役社長 桑野 順一郎氏。この年は、Apple MusicやNetflix、LINE MUSICといった、定額制の音楽や動画配信サービスが日本でスタートした年である。さらに2年前の2013年は、アドビがPhotoshopやIllustratorなどのソフトウエアをパッケージ販売からサブスクリプションモデル・Creative Cloudへと切り替えた年。この動きをきっかけにして、「多くのソフトウエア企業がサブスクリプションモデルヘとシフトすることになった」と桑野氏は話す。サブスクリプション化が加速していると実感するエピソードだ。
そしてサブスクリプションは、デジタル業界だけの話ではない。続けて桑野氏は、自社の多種多様なクライアントが展開しているサブスクリプションサービスを紹介した。
まず、自動車のフォード。自動車メーカーからモビリティサービスを提供する企業への変革を目指して「FordPass」というサービスを展開している。そしてカリフォルニアにある「Surf Air(サーフエアー)」という企業は、プライベートジェットをサブスクリプションモデルで提供。さらに、ヨーロッパの新幹線と呼ばれる「TGV」も若年層限定で乗り放題というサービスを始めている。
ここで桑野氏は「サブスクリプションとは定額制のビジネスではありません」と強く主張。「顧客とつながり、ニーズを理解しサービスを提供する。そのリレーションシップによって収益化をするのがサブスクリプションです」と本質を説く。
その例として挙げられたのが、楽器メーカー・フェンダーの「Fender Play」というサービスだ。これはオンラインのギター学習サービスをサブスクリプションモデルで提供するもので、顧客とのリレーションシップを構築している。それを可能としたのは、組織やビジネスモデルをITの技術で変えるデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)だ。DXにより、ゼネラル・エレクトリック(GE)やIBM、コマツ(小松製作所)やリコーといった伝統的企業もサブスクリプションモデルで収益を上げる企業へと変革しているという。