この調査によると、世界各国の人々の科学に対する見方は、非常に肯定的だという。回答者の半数は、自分が生きている間に空飛ぶ車が発明されるだろうと想像し、87%が科学を退屈なものではなく、魅力的なものと捉えていた。
一方で、科学が毎日の生活に与えている影響を多くの人は感じていない。約40%の人々が、「科学がなくても日常生活は変わらない」(38%)と考えている。科学に対して懐疑的な見方も広がっている。世界中の約3人に1人(32%)が科学に対して懐疑的な見解を持っており、20%が科学に対して不信感を抱いていることが明らかになった。
■調査で明らかになったポイント
・多くの人々が、科学は「天才」だけのものであると考えている
調査では、3分の1以上が「科学は近づきがたいもの」と捉え、36%は「科学で生計を立てられるのは天才だけだ」と考えている。
・科学に対する男女の考え方の差を解消する取り組みが必要である
女性は男性と比較すると、科学との関係性は薄く、また科学への興味も低い。女性は男性より、 科学について知らないと答え(女性21%、男性15%)、エンジニアを職とすることに満足を感じるとする人数は大幅に少ない(女性9%、男性25%)。しかし、医学と生命科学の分野については、女性の関心は男性を上回った。(医学にいて:女性20%、男性14%、生命科学について:女性15%、男性10%)
・社会的には評価が高い科学も、日常生活の中では評価が若干下がる
科学が日常生活にとって重要(46%)と考える人よりも、社会一般にとって重要(63%)と考え る人の方が多い。
・人々は科学に多大な期待を寄せている
およそ4分の3の人々は、難解でグローバルの課題でもある、国連が示した「持続可能な開発目標」について、科学によって解決できると信じている。世界中の人々が、購入しやすい再生可能エネルギー(75%)やエネルギー供給(74%)に関する課題を科学が解決できると楽観視している。
また、疾病の治療(75%)や清潔な水と公衆衛生(73%)、インターネットへのアクセス(73%)にまつわる課題は科学によって解決できると期待している。一方で、気候変動 (46%)、飢餓(45%)、高齢化(41%)、失業(33%)対策には、科学への期待は低い結果だった。
・日々の暮らしでは、ほとんどの人が科学やその影響について意識していない
大多数の人(66%)が、日常生活に対する科学の貢献を「わずか」もしくは「全くない」と考えている。
・半数近くの人が、理系の職業を目指せばよかったと考えている
半数強の人々(54%)が、文系の職業を目指したことに後悔はないと答え、半数近く(46%)が、理系の職業を選択すればよかったと考えている。
・科学懐疑論者と科学支持者の双方が、次世代については同じ意見を持っている
次世代に関しては、科学懐疑論者と非懐疑論者は驚くほど同意見で、82%が子供たちに理系の職業を目指すように勧め、92%が子供に科学を学んで欲しいと考えている。同時に、33%が、科学が世界をいかに進歩させているかを学生・生徒により深く理解させて、理系の職業を目指したいと思わせる必要があると考えている。