運任せではない、継続的なイノベーション活動に必要な「ニーズの収集方法」とは?
最小の努力をもって最大の欲望を満たすことが人間の経済行為の基礎原理である。(アダム・スミス)
中核となるジョブを前回ご説明したようにステップバイステップのプロセスに分解したら、次は各々のステップにおける市場における全てのニーズ(望ましい成果)を収集していきます。ニーズの収集方法をご説明する前に、「理解する」ステージにおいて“収集すべき全てのインプット”を最初に整理しておきましょう(図1)。
■顧客のジョブ – これは、皆さんがターゲットとする顧客(ジョブ履行者)がもつ中核となる機能的ジョブ、中核となる機能的ジョブを上手く成し遂げるためのステップバイステップのプロセス、中核的な機能的ジョブに紐づけられた「感情的ジョブ」と「社会的ジョブ」、「関連する機能的ジョブ」と「台頭する機能的ジョブ」です(必要に応じて「消費チェーン上のジョブ」)。
■ニーズ(望ましい成果) – これは、中核となる機能的ジョブにおいて、各々のジョブステップが上手く履行できているかどうかを判断するために顧客が使う評価指標(メトリクス)です。
■障壁や制約 – これは、ある背景において、特定のニーズ(成果)の実現を阻む(または大きな影響を与える)要因です。
■現在の履行方法 – これは、顧客が中核となる機能的ジョブ(または各々のジョブステップ)に関する現在の履行方法です(特定のプロダクト/サービスの使用を含む)。
■支払意思 – これは、顧客が中核となる機能的ジョブ(または各々のジョブステップ)を成し遂げるために現在支払っている金額、または完璧に成し遂げるために支払う意思がある金額です。これから開発しようとしているプロダクト/サービスに関する支払意思ではないことに注意しましょう。これは、皆さんのイノベーションに対する収益性に大きな影響を与えるだけでなく、価値ベースのプライシングのベースとなります。
これらのインプットを適切に収集することは、皆さんを運任せ(当て推量/アイディア先行型のイノベーション活動)のイノベーション活動から解き放すだけでなく、中長期にわたる持続的かつ継続的なイノベーション活動のベースを生成することを可能とします。