“100年に一度の大変革”の時代でも変わらない、シンプルで普遍的なテーマとは?
100年に一度の大変革
執筆にあたり、この表現のルーツを調べてみました。遡ること10年前の2008年、リーマンショックに揺れ動くなかで、当時の米連邦準備制度理事会(FRB)のグリーンスパン元議長による「We are in the midst of a once-in-a century credit tsunami」という発言がもとになっているようです。これ以降、日本の自動車産業では「100年に一度」をひとつのスローガンとして、過去の成功体験にとらわれない経営や製造販売業からサービス業のモデルチェンジの必要性が訴えられてきました。
100年に一度は自動車産業における周期ですが、多くの業界でもビジネスの変革期が目前に迫っています。AIやIoTをはじめとする情報技術の進歩と、シェアリングエコノミーの浸透やCtoC型サービスなどの台頭によって、これまでのビジネスが、もっと具体的にいうと私たち自身の働き方、お金の稼ぎ方、消費の仕方が変わりつつあることは、日常生活を通じても感じることができます。
このような状況下でビジネスを進めるにあたり、私たちは一体何から取り組むべきか、一番インパクトのある変化とは何か。それを読み解くひとつの鍵として、「モノを所有すること」が価値だと捉えられた時代から「モノを分かち合う、リソースを分かち合うこと」が価値となるということ。この価値の転換期に私たちはいるということです。仲介業が不要となると言われるブロックチェーン技術が本格的に採用されはじめると、この流れはさらに加速化します。
この壮大かつ未知なるテーマは経営層だけのものではありません。現場の会社員だって、ある日突然上司から「リカーリング型でLTV(ライフタイムバリュー)を上げられないか?」と言われたり、あるいは書店に行くと次々と目に入る「デジタルトランスフォーメーション、サブスクリプションモデル、プラットフォームビジネス、カスタマーサクセス…」などのめくるめくカタカナ外来語に日々翻弄されたり圧倒されているのです。それは私も含めて。
ただ、この“カタカナ外来語”に一喜一憂したり混乱したりする必要はまったくないのです。どんなに今後技術が進んでも、どんなに新しい言葉が生まれても、私たちの「誰かに価値を感じてもらい、その人から対価をうける」という営みは変わらないのですから。この連載で伝えたい一番のメッセージは、以下のような、とてもシンプルで普遍的なものです。
誰に価値を感じてほしいのか? どうしたらその人に価値を感じてもらえるのか?