デロイトが内部監査執行役員を対象に行ったグローバルレポート『イノベーションの必要性』は、世界40カ国に所在する各業界の内部監査責任者1,100人以上から得られた回答を集計・分析したもので、内部監査部門が現在および将来にわたり企業のニーズを満たすのに役立つと考えられるインサイトとアイデアを提示している。
デロイト グローバル 内部監査サービスリーダーのテリー・ハゼレルは「ディスラプションが繰り返し生じる今日の環境の中において、多くの企業は、新しいビジネスモデルや新技術を導入したり、サードパーティーと新しい方法で提携したりしています。組織は価値創造に関わるリスクを管理しようとしており、内部監査部門はこれまでのようにコンプライアンスを提供するだけでなく、アシュアランス(保証)とアドバイザリー(助言)サービスの提供、リスク予測に関してさらに革新的なアプローチを取り入れることに注力する必要があります」と語る。
これを実現するにはイノベーションが必要不可欠で、「今後3~5年の間に内部監査に影響を与える主なイノベーションは何だと思いますか」という質問に対し、回答者のうち22%がデータアナリティクス、15%がコグニティブテクノロジー(認識技術)/RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、14%が予測分析、13%がリスク予測、8%がアジャイル型アプローチの導入、と回答している。
デロイト グローバル 内部監査アナリティクスサービスリーダーのニール・ホワイトは「この調査結果は、内部監査業務にイノベーションを導入する必要があることを内部監査チームが認識しており、その多くが本格的な導入に向けてすでに一歩踏み出していることを裏付けている。現時点における課題は、導入を促進するために利用可能なツールや方法について理解を深めることです。イノベーションを受け入れることは、組織内で必要とされる内部監査の影響力を担保するうえで重要です」と述べる。
イノベーションに対する投資と、組織内における内部監査の影響力の間に顕著な関連性があることが今回のレポートで明らかになった。大きな影響力を持つ内部監査部門は、2016年の調査では28%だったが、今回の調査では40%に増加している。逆の見方をすれば、回答したCAEの60%は、いまだに自らの率いる内部監査部門には大きな影響力がないと考えているともいえる。今回の調査結果は、イノベーションに基づくアプローチと方法を導入した内部監査チームには、導入していないチームに比べて大きな影響力を持つ傾向があることを示している。実際、自身が率いる内部監査部門には大きな影響力があると答えたCAEの71%が、イノベーションに対する投資を増やす計画を立てている。
ニール・ホワイトは、「これらの戦略的優先事項を実現しようとするのであれば、内部監査チームはいくつかの課題に前向きに取り組む必要があります。例えば、調査対象となったCAE の3分の1以上がスキルと人材の不足を重要な課題として挙げていますが、4分の1は、専門的なスキルにアクセスするための、従来モデルに代わる人材調達モデルをまだ利用していません。特にアナリティクスの人材が不足しています。私たちの調査によると、調査対象となった内部監査チームの56%では、いまだに基本的なレベルのアナリティクスの利用にとどまっています。そこには、高度なアナリティクスを、ビジネス側との連携のためのリソースの解放、品質・効率性の向上、自動的なアシュアランス(保証)とリスク予測の提供に生かすことができる大きな機会が存在しているのです」と述べている。