データ活用による顧客理解を「属性把握」から「状況把握」へ移行させる、三つの方法論とは?

第4回

 前回は、顧客データを起点としたサービスデザインの考え方と日本市場において実行の妨げとなっている課題をあげさせていただきました。一つ目は「データに振り回された顧客理解」、二つ目は「デジタルに閉じた活用と検証」、三つ目は「プロセス化しない組織の壁」です。今回は、妨げとなる三つの要素を解決する方法論を事例とともにご紹介したいと思います。

[公開日]

[著] 魚住 高志

[タグ] マーケティング サービスデザイン 事業開発 UX OMO

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データ活用による顧客理解は「属性把握」から「状況把握」へ

 前回、顧客データを起点としたサービスデザインに関して、日本市場での実行の妨げとなっている三つの課題を提示しました。今回は、それぞれについて、解決する方法論を、事例とともにご紹介したいと思います。

 まず、「データに振り回された顧客理解」です。昨今のデジタルマーケティングの風潮として「如何に競合よりターゲティング精度を高めるデータを取得するか」に重きが“置かれすぎている”ように思います。あくまで私見ですが、属性にまつわるデータのバリエーションを増やし広告配信のターゲティング精度を高めようにも、既に限界に近い状態にあるのではないかと考えています。また、様々なデータを掛け合わせターゲティングしようとするがあまりに、事業規模に適したターゲットとなる母数が確保できないということはよく発生する事象です。

 これからのデータ活用による顧客理解は「属性把握」を深めるのではなく、「状況把握」が必要であると考えています。「状況把握」とは、例えば今顧客は「どのような状況に置かれているか」または「どのような課題を抱えているか」など、画一的な「属性」による把握ではなく、置かれた「状況」を察知することを指します。

 その事例として、前回、損保会社およびフラワーマーケットの事例をご紹介させていただきました。損保会社の事例においては、全契約者に起こりうる困難な「状況」を察知し、短期的には収益を圧迫する解決策だとしても提示し、中長期的な顧客との関係を維持する取り組みを行っています。

 またフラワーマーケットの事例においては、例えば顧客が配偶者との記念日を忘れてしまうといった「課題」に対して、困難な「状況」に陥る前に事前に解決する手段を提供しています。このような取り組みにより、顧客自らが企業にデータを提供する事を実現しています。

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