インテルの事例に学ぶOKRの“4つの威力”──企業の“5つのフェーズ”に応じたOKR導入方法とは?

第2回

 前回の記事では、日米で飛躍的に成長している企業が活用している目標管理フレームワーク「OKR」の特徴と、OKRを活用して企業の意思決定を加速させるためのポイントについて整理しました。
 今回は、米インテル社の事例からOKRの“4つの威力”を紹介し、事例を引きながら企業の5つのフェーズに応じたOKR導入方法をまとめます。多くの企業で自社の目標管理の現状を把握し、企業成長へのコミュニケーションプロセスを改善する参考になればと思います。

[公開日]

[著] 堀江 真弘

[タグ] ビジネススキル OKR 経営 目標管理

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

窮地を脱するためにOKRを生み出したインテル──快進撃を支えたOKRの“4つの威力”(1)

 最初に、OKRを生み出したインテルでの事例を見てみましょう。

 1979年、インテルはメモリチップ市場で日本企業やベンチャー企業に挽回できない侵食を受けており、頼みの綱であるマイクロプロセッサの市場でも、高性能な製品をリリースしたモトローラに押されていました。まさにインテル存亡の危機です。そこでインテルは、挽回をかけ、約2000人の従業員のうち半数を動員する「クラッシュ作戦」を展開、数年後には競合に完全に打ち勝ち、市場を制することができました。

 当時インテルで働いていたジョン・ドーア(GoogleにOKRを紹介したベンチャーキャピタリスト、『Measure What Matters 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR』の著者)は、「今振り返っても、本当によく成功したと思う」と回顧しています。1000人もの従業員を動かすための驚異的な情報伝達は、OKRシステムがなければ実現しえなかったと言います。その秘密は、一体どういったものなのでしょうか。

 ドーアは、インテル復興の事例にOKRの“4つの威力”が表れていると語っています。それは、「フォーカス」「アラインメント」「ストレッチ」「トラッキング」です。これらがどのようにインテルの復興に貢献したか、その特徴と共に見ていきましょう。

ジョン・ドーア『Measure What Matters – 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法OKR』ジョン・ドーア『Measure What Matters 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR

戦略を絞る「フォーカス」

 インテルは、一見重要度が同じに見える活動の中から1つの戦略を選び取り、V字回復を実現しました。「クラッシュ作戦のために改良した製品は1つもない」とドーアは振り返ります。インテルはそのかわりに、モトローラに勝つための手段を「顧客との関わり方を変える」という点に絞りました。インテルは主力製品である「8086」の性能の優位性を示す指標を開発して公表し、マーケティングの刷新にフォーカスしました。

 製品改良でなく、マーケティング。1つの戦略にフォーカスし、数年後の1986年にはマイクロプロセッサ市場の85%を握ることに成功しました。

連携を生み出す「アライメント」

 アラインメントとは、全員が同じ方向に向いている状態のことです。「企業の事業戦略と、共通の目標を達成するために自分に期待されていることを理解しているか」という問いにほとんどのメンバーがYESと答えられれば、アラインメントは達成できています。

 フォーカスを決め、全社の活動を透明化することで、向かうべき先や連携すべきチームが明確になります。「クラッシュ作戦」でも、戦略と、そこに求められる成果が明らかであったため、営業部隊のセミナーにエンジニアが協力するなどの連携が生み出されていました。

 そして、このアラインメントは、目標が「ストレッチ」であることでより力を発揮します。

バックナンバー