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「スケール・ディーパー」とは何か

“ITと愛嬌”の融合が業界を変革する──テクノロジーは働く人も幸せにする“ハイタッチ”を生み出す

ゲスト:ナレッジ・マーチャントワークス 染谷 剛史さん【後編】

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薄利多売のモデルから、“ものを売らない店”へ

栗岡大介さん(以下、敬称略):前編では染谷さんの起業までの経緯を通じて、「スケール・ディーパー」の特徴を見てきました。ここから実際に染谷さんが目指す展開をお聞きしたいです。

世間では小売・サービス業に対して、ネガティブな見方が増えています。人口減少、人手不足、シェアリング・エコノミーによる消費減退、アマゾン・エフェクトと呼ばれるようにEコマースの台頭によるリアル店舗の大量閉鎖……。

一方で、染谷さんはリアル店舗にも実は成長の可能性が眠っていると考えられています。その背景を業界の歴史などを紐解きながら教えていただけますか?

染谷剛史さん(以下、敬称略):はい。まず、1960年代に勃興したチェーンストアの影響が大きいですね。アメリカのチェーンストア経営を日本にも広めようということで、経営者たちがこぞってアメリカに飛んでビジネスを持ち帰ってきたわけです。旧ダイエー、イトーヨーカドーやイオン(旧ジャスコ)などはその好例です。

日本人の所得が増える中で色々なモノを消費したいというニーズを受けて、全てをワンストップで提供できるGMS(General merchandise store)と呼ばれる総合スーパーマーケットが競い合うように全国展開を行いました。同時に、誰でもできるマニュアルをつくって今まで労働参加していないかった人たちをアルバイトという形で巻き込んで、大量に物を仕入れて、それにちょっとだけ利益を乗せて売っていく。薄利多売のビジネスが小売も外食もチェーンストアの勝ちパターンでした。

栗岡:それが今は上手く機能していませんね。百貨店や大型スーパーなどの店舗閉鎖というニュースを耳にすることが増え、買い物難民という社会課題も生まれています。それでも、染谷さんはここにチャンスがあると?

染谷:はい、逆転の発想で「その場でモノを売らなきゃいいじゃないか」と思っているんです。店頭でモノを売ろうとするから、陳列する面積や場所大きくが必要だし、在庫を置くバックヤードやそこから在庫を陳列する作業や人を配置し、そしてレジを作らないといけない。結果的に、店舗運営は高コスト体質になってしまいます。

お店に来るための魅力付けを値段以外のところでするというが大切です。「値段以外の魅力」が何なのか?経営者はこれまでの成功体験を捨て、考え方を180度変える必要があると思っています。

店舗は販売と物流が一体化したモデルです。これは高コストになります。だから、物流は物流で切り離して、販売の部分はプレゼンテーションに特化して、在庫も置かない。購入はECでしてもらい、店で行うのは、プレゼンの面白さや、商品の組み合わせの妙、イベント展開、商品の使い方を学ぶ場、修理する場、カスタマイズする場として、同じ趣味の人が交流する場として来店の魅力付けをする。僕たちは、CX=Customer Experience(顧客体験)と呼んでいます。そうなると、店で働く人の役割が変わりますよね。品出しとかレジ打ちを人がやらなくてよくなるので。

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