中島氏が語る、大企業による投資が過熱する現在が“AIバブル”である理由
今、AIはバブルだといっても過言ではありません。AIが注目されることで、勉強する人が増え、その人たちの仕事も増えています。人や技術を育てる健全なバブルではありますし、テクノロジーのハイプ・サイクルを考えると必要不可欠なものだともいえます。でも今後、それはいったん下火になるだろうと思っています。現状では、AIそのものがビジネスになっているわけではなく、GoogleやMicrosoftといった、基礎となるビジネスを持った企業がAIを使った面白い仕掛けで話題を集めている段階です。
シンギュラリティ・ソサエティ中島聡氏は、モデレーターの橋本氏からAIの現在のビジネスへの影響をどう捉えているかと質問され、このように答えた。
ABEJAの菊池氏は、そういった意見もある一方で、長期的にはAIのポテンシャルは非常に高いと主張する。AIは今後、意識して使うというものではなく、すべての産業、全ての人の生活に自然に存在が溶け込んでいくのではないかというのだ。東京大学の大澤氏は研究者の立場から見て、AIの技術はブレイクスルーがあったと感じていると話す。そして、バブルが“期待過剰”という意味だとすると、今は価値を低く見積もられすぎているのではないかと主張する。
もちろん、中島氏も長期的にはAIに期待しているし、AIを使いこなせない企業は消えていくと言えるほど、AIにはポテンシャルを感じている。しかし、大企業がAIに投資しても、そのリターンはないだろうというのだ。
おそらく多くの大企業はこれからAIに投資していくでしょう。しかし、他のビジネスと同様に、AIを導入した従来の大企業が勝つのではなく、全く新しい企業がAIを使ったビジネスを作り、一気に市場を奪っていくと予想しています。その意味でも、大企業のAI投資は将来はじけるバブルだと思うのです。
これに対して大澤氏は、スマートフォンの登場という破壊的イノベーションに対して「脱ウィンドウズ」によって成長を続けるマイクロソフト社を引き合いに反論。しかし中島氏は、マイクロソフト社は稀なケースだと主張する。
とはいえ、AIが2、30年後の世界に大きな影響をもたらすため、それを見越していくべきというのは、三人とも共通する見解である。では、AIに投資している大企業の成長を阻害している要因とはなんだろうか。