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イーデザイン損保・桑原社長と語る、デジタル・トランスフォーメーションは「CX起点の変革」の意味

第5回ゲスト:イーデザイン損害保険株式会社 取締役社長 桑原 茂雄氏【前編】

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 デジタル・トランスフォーメーション(DX)への取り組みに積極的な企業は増加の一途を辿っている。陥りがちな発想は、「AIを使おう」「クラウド化しよう」「スマホで何かできるようにしよう」という“テクノロジーファースト”の声だ。でも、DXの本質はそこにはなく、いまある何かをデジタルに置き換えることではない。新たなビジネスの形を生み出し、会社組織やビジネスプロセスそのものを変革することを指す。今回は、前後編にわたって、DXの取り組みを進めるイーデザイン損保 取締役社長 桑原茂雄氏に、同社を支援するタイガースパイク 根岸慶氏がDXの本質に関して話を聞いた。

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デジタル・トランスフォーメーションとは、デジタル技術の導入を指す言葉ではない

タイガースパイク 代表執行役員 根岸慶氏(以下、敬称略):今日は、デジタル・トランスフォーメーション(以下、DX)に積極的に取り組んでいるイーデザイン損保の桑原取締役社長に変革の取り組みをお聞きできればと思います。まずは、桑原さんの経歴を教えてください。

イーデザイン損保 取締役社長 桑原茂雄氏(以下、敬称略):私はもともと、東京海上火災(現・東京海上火災日動)で保険の引受けにあたって、危険の選択、引受条件、料率等を決定する「アンダーライティング」の仕事をしていました。それも石油プラントの建設工事の保険料算出といった、一般には馴染みがない堅苦しいものを担当していました。その後、生損保一体型の商品開発に携わり、さらにその後には、ITシステムの構築に仕事の軸足が移っていきました。

根岸:単にシステム構築と言うよりも、ビジネスプロセスの変革という意味合いが強かったそうですね。

桑原:当時は、抜本改革推進部という名前の部署でしたね。その後、一度ニューヨークに転勤するのですが、戻ってきたらDXが話題になっていた。そのまま変革を進めて、昨年4月から東京海上グループの中ではDXが進展する余地の大きいイーデザイン損保に籍を移して改革を進めていることになり、現在に至ります。

根岸:いま、DXという言葉が広まっていますが、いろんな人がDXについて語っています。取り組む会社も増えているんですが、どうも人によって語ることが違う。それならということで、私が調べて整理したDXの概念図があります。

タイトルDXの概念図(※詳細は根岸氏のコラムにて

根岸:図の下の部分は「デジタル技術」の話です。スマホの普及率とか、通信環境の整備とかインフラも含まれます。ただ、多くの人は、DXについて、この「デジタル技術」だけを語っている気がします。なので、DXは技術の導入、テクノロジードリブンな活動ばかりが変革の中心となってしまっています。

 でも、そもそもDXを提唱したスウェーデンの学者は「DXとは、ITの浸透によって、人々の生活をより良くするものだ」と説明しているんです。この図の上の部分、「人々の生活」をよくすることだ、と。

 つまり、人々の生活を良くする「CX(顧客体験)」に対して、デジタル技術でどう貢献できるかという話なんです。そもそも、テクノロジードリブンとCXドリブンの両輪で、DXが語られなければならない。

桑原:その点で我々は、下の部分、デジタル技術については意識していないんです。

根岸:えっ、どういうことですか?

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