なぜデータドリブン企業には“文化”が重要なのか
『日本のビッグデータアナリティクス市場は2022年までに約3,800億円に達する』とIT専門調査会社のIDC Japanは予測しています。データを活用してイノベーションを起こすことで競合優位性を得た企業が、業界の先頭に立っていることは明白です。そんななかで、私たちが重視しているのは“人”です。
基調講演の冒頭で、Tableau Japan(以降、Tableau)の佐藤豊氏は、こう述べた。Tableauはプログラミングが不要でシームレスなデータ環境を構築できるソフトウェアを提供している。だからこそ、重要なのはデータを使う“人”であり、一部の担当者だけがデータを使いこなすだけでなく、社内のさまざまな社員がデータを活用できることが重要だと主張している。
米国Tableau社でプロダクトマーケティング担当バイスプレジデントを務めるジューエット氏は、データドリブンの企業文化を持つことが必要だと説く。そのためにまず必要なのは、データリテラシーである。企業文化に限らず、すべての“文化”と呼ばれるものは、価値やアイデアを表現するために言語を活用する。データドリブンの企業文化にとって、その「言語」はデータだ。中央値、平均値の違い、棒グラフの読み取り方、相関関係と因果関係の違い、確証バイアスへの対策など、データを活用する際には理解すべき事柄がある。データリテラシーを身につけてデータを使いこなし、データを共通の言語にしていかなければいけない。
住宅情報を提供するプラットフォーム企業、株式会社LIFULL(ライフル)は、以前はマーケティングキャンペーンの評価やデジタルデータ収集・分析などを、外部業者に委託していた。そのため、社内に知識が蓄積せず、データリテラシーを身につける機会を失っていた。そこでTableauのソフトウェアを導入した。
同社のソフトウェアは自然言語を使って使用することができる。「○○県の売り上げを製品ごとに見たい」「顧客のセグメントごとに売り上げ状況を見たい」「利益と売り上げを週ごとに見たい」など、自然な言葉で入力すると、それを図式化して見せてくれるのだ。データ分析に慣れていない人でも、分析を気軽に行うことができる。その簡便さにより、現在LIFULL社では社内に数百人のTableauユーザーがおり、データ可視化の文化が組織の中で醸成されているという。