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「大企業による新規事業」のリアル

なぜ大企業の新規事業開発はうまくいかないのか──成功を妨げる“3つの要因”

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 大企業では「新規事業」が盛り上がりを見せています。「新規事業」といっても、かつては自社での開発だけでしたが、最近はCVC、シードアクセラレータープログラム、コーポレートアクセラレータープログラム、オープンイノベーションなど様々な手法が話題に上がるようになりました。新規事業の芽を育んでいる企業が出てきた一方、壁にぶつかって諦めてしまう企業も数多くあります。では、企業の新規事業成功を阻む要因は何でしょうか。そして成功に近づくために気をつけるポイントはどこでしょうか。

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いま企業に新規事業開発が求められている理由

 いま、多くの企業で新規事業開発の部署が立ち上げられ、アサインされた担当者は「将来の事業の柱」を作るべく、日々悪戦苦闘しています。私も、会社員時代に約10年間新規事業に携わってきましたし、独立後も、メディア事業、家電、シェアリングエコノミー、EC、不動産開発といった企業の新規事業開発支援をする中で、多くの取り組みを見聞きしてきました。

 新規事業を自社で開発する場合であれば、新規事業開発プロジェクト全体のプランニング、新規事業アイデアの発想、定性・定量のリサーチによるプランニング、実行に移った個別事業の実行支援など。CVCやシードアクセラレータープログラム、コーポレートアクセラレーター、オープンイノベーションであれば、出資や協業できるスタートアップや起業家の発掘、協業先の選定や協業プランの企画など、取り組む業務は多岐にわたります。

 それぞれの分野・フェーズで各担当者は非常に努力されています。ただ、大企業の新規事業がなかなか突き抜けた成果を出せていません。新規事業の性質上しかたない部分もありますが、同時に日本の大企業が共通して抱える構造要因に起因する部分も大きいと感じています。多くの大企業は、「高度経済成長期に圧倒的に成功し過ぎた」という過去の経験が大きく残っており、新規事業が成功しにくい原因になっているのではないでしょうか。

 私は高度経済成長を経験していない世代ですが、当時の状況を知る人から話を聞くと、「ちゃんとやっていれば間違いなく成功する」という、いまと比べると羨ましい状況が何十年も続いていたそうです。つまり、高度経済成長期は、「リスクを負わない」ことが「期待リターンを最大化」する最適な方法だったといえます。

 このような社会経済状況を背景にして作られた仕組みが、新規事業開発のような、大きなリスクをともなう“異端”を許容できるとは考えられません。成長産業が激減していく90年代以降も、ほとんどの日本企業が時代の変化に対応できなかったのは、高度経済成長期に形作られた大企業の構造に問題があったということです。

 2010年代には、日本経済が「足元経済は好調だが、長期的には大きな凋落が避けられない」という状況に追い込まれました。これまで変化に対応できなかった日本企業も、リスクを負ってでも新規事業に取り組む必要に迫られています。

 新規事業を興して組織を変革させたいのに、なかなかうまくいかない。多くの企業からこのようなご相談を受けるうちに、新規事業の成功を阻むいくつかの共通した要因を見つけました。次のページからは、成功を阻む要因とそれに対する対策をご紹介していきます。

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この記事の著者

畠山 和也(ハタケヤマ カズヤ)

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