企業の成果を最大化するためのパーパス・マネジメント──個人と組織のPurposeをつなげる意味

第2回

 近頃、Purpose(パーパス)という言葉が注目されています。「DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー」の2019年3月号でも「PURPOSE」が特集され、多くのビジネスパーソンの間で話題となりました。一方で、「また新しいキーワードが出てきたな……」「ミッションやビジョンとどう違うの?」といった戸惑いの声も多く耳にします。
 前回はなぜ組織にPurposeと、Purposeに沿った経営「パーパス・マネジメント」が重要なのかを解説しました。今回は一人ひとりが幸せに働くための「個人のPurpose」についてご紹介します。

[公開日]

[著] 丹羽 真理

[タグ] マネジメント ビジョン ミッション パーパス 経営

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「働く人の幸せ」の追求が、企業にビジネスの成功をもたらす

 第1回では、パーパス・マネジメントによる企業経営の4つのメリットをご紹介しました。

  • 働き手から選ばれる会社になる
  • 顧客から選ばれる会社になる
  • イノベーションを生み出す
  • 好業績を生み出す

 このような企業となるためにも、北極星となるPurposeを持ち、それに沿った経営(パーパス・マネジメント)を行うことが重要となってきます。

 また、Purposeは個人が幸せに働く上でも必要です。

 「働く人の幸せ」という考えは、ビジネスの文脈では戯言のように聞こえるもしれません。しかし、実は「働く人の幸せ」が、企業にビジネスの成功をもたらすことが、様々な研究からわかってきています。

 ポジティブ心理学という分野における研究では、

  • 幸福度の高い社員の生産性は31%高く、創造性は3倍高い
  • 幸せな気持ちで物事に取り組んだ人は、生産性が約12%上昇する
  • 幸福度の高い医者は、そうでない医者と比較して平均して2倍のスピードで症状を分析し正しい診断を行う

という結果が出ています。

 これらは研究結果の一部ですが、社員の幸福度を高めることこそが、ビジネス上の成果を上げるための鍵といえるでしょう。もしかしたらこれまでは「歯を食いしばって頑張れば成功し、成功すれば幸せになる」という考え方が一般的だったかもしれません。しかし、ポジティブ心理学の研究結果からみると、「幸せだとやる気が出て成功する」「幸せが成功のもとになる」という考え方にシフトする必要があることがわかります。

 「仕事における幸せ」は、一見すると自己啓発のように受け取れます。しかし研究結果からわかるように、これこそが真剣に取り組むべき経営テーマなのです。

 実際、日本で働く人は幸せを感じているのでしょうか。こちらは、米ギャラップ社が139カ国の働く人を対象に行った調査です。

  • Engaged:熱意に溢れる、仕事で幸せな人
  • Not engaged:やる気のない人
  • Actively disengaged:やる気がないだけでなく、周囲に不満を撒き散らしている人

が各国どのくらいの割合でいるかを、アンケート調査を通じて調べています。

出所)State of the Global Workplace2017:GALLUP

 この調査から、仕事で幸せな人ともいえる「Engaged」は、日本にはたった6%しかおらず、4人に1人は「Actively disengaged」だという悲しい状況がわかります。

 もちろん、各国の文化的背景や、アンケート調査に対してどの程度ポジティブに回答するかという国民性の違いもあるため、単純に比較することはできません。それでもこのような低い結果となっているのは問題ではないでしょうか。

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