三井不動産光村氏が語る、オープンイノベーションに必要な2種類のイントレプレナーとは?

第2回 ゲスト:光村圭一郎さん

 前回は、大企業による新規事業開発の成功を妨げる3つの要因を説明しました。今回からは、実際に大企業で新規事業開発に取り組まれている方へのインタビューを通して、大企業内での新規事業開発のリアルな事例をご紹介していきます。
 今回お話を伺ったのは、三井不動産株式会社の光村圭一郎氏です。東京ミッドタウン日比谷の6階にあるビジネス創造拠点「BASE Q」の運営責任者を務める光村氏は、大企業の新規事業開発を成功させるには、オープンイノベーションが最も近道だと話します。光村さん自身の新規事業開発の経験から導き出された、事業を生み出すために必要な「Why」と、オープンイノベーションを成功に導く2種類のイントレプレナーについて語っていただきます。

[公開日]

[語り手] 光村 圭一郎 [取材・構成] 畠山 和也 [写] 黑田 菜月 [編] 梶川 元貴(Biz/Zine編集部)

[タグ] イントレプレナー 事業開発 オープンイノベーション

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内製による新規事業開発の失敗とオープンイノベーションとの出会い

畠山:三井不動産で新規事業に取り組むようになった経緯を教えてください。

光村圭一郎氏(三井不動産株式会社 ベンチャー共創事業部 事業グループ 統括 BASE Q運営責任者、以下、敬称略):2002年から講談社で編集者として働き、2007年に三井不動産に転職しました。最初はオフィスビルの開発部署に配属、そのあと建物の維持・管理を行う子会社に出向し、日本初の超高層ビルである霞が関ビルディングを担当します。そこで、霞が関ビルディングから現代の最新ビルに至るまで、“ビルそのもの”では差別化できないと感じるようになりました。“どう作るか”よりも“どう使うか”の方が建物の価値に影響を与えると考え、新規事業開発に関心を抱くようになります。震災やリーマンショック、技術革新に伴う社会環境の激変の兆しなどを契機に社内でもハード以外にも目を向ける機運が高まり、2012年には私も新規事業担当にアサインされました。

畠山:新規事業担当になってどのような取り組みをされていたんですか。

光村:意図したわけではありませんが、オープンイノベーションとは対極にある「クローズドイノベーション」として、自分で発案し、作って売るまでを一貫して行っていました。オウンドメディアの立ち上げや、テナントワーカー向けのアプリ作成といったプロジェクトに取り組んできたのですが、成功したといえるものは一つもありません。

畠山:なぜクローズドイノベーションではうまくいかなかったのでしょうか。

光村:自分としては良いものを作ったと思っても、顧客視点では「あっても悪くない」程度で、真のニーズに応えられなかったからだと思います。未知の事業に挑戦するにあたって、「顧客にとってなくてはならないものか」を自社だけでは十分に考えきれないと痛感しました。同じやり方を続けていても成功しないと思っていたとき、自身が責任者として立ち上げたClipニホンバシのプロジェクトを通じて「オープンイノベーション」に出会いました。このプロジェクトは、新規事業において必要な“Why”の大切さにも気付くことができ、私にとって大きな転換点となりました。

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