ヤマハ発動機とエーザイの担当者はどのように新規事業を立ち上げ、顧客体験を変えていったのか

Biz/Zine Dayセミナーレポート Vol.4:ヤマハ発動機深見氏、エーザイ辻本氏

 「モノづくり企業のデジタルトランスフォーメーション戦略」をテーマに開催したBiz/Zine Day 2019 Autumn。特別講演では「モノづくり企業の新規事業と顧客体験の変化」をテーマとしたパネルディスカッションが実施された。実際に新規事業創出を実践している担当者たちが、新規事業の立ち上げの経緯から既存事業とのシナジー効果、そして新規事業がもたらす顧客体験の変化について語った。
 登壇者はバイクのサブスクリプション事業を立ち上げたヤマハ発動機株式会社の深見剛彦氏、製薬会社の新規事業としてIoT服薬支援機器を開発したエーザイ株式会社の辻本道彦氏。モデレーターは翔泳社Biz/Zine編集部の梶川元貴氏が務めた。

[公開日]

[講演者] 深見 剛彦 辻本 道彦 [聞] 梶川 元貴(Biz/Zine編集部) [取材・構成] 保 美和子 [写] 和久田 知博

[タグ] IoT 事業開発 サブスクリプション 新規事業

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メーカーによるサブスクサービスと、製薬会社によるIoT機器

 最初に、ヤマハ発動機株式会社の深見剛彦氏が、自身が立ち上げから携わってきたバイクのサブスクリプションサービスについて紹介した。

 バイク市場は年々縮小しており、普通自動二輪車免許(中型免許)取得者の約25%がバイクの利用経験がないという自動車工業会の調査結果もある。この“眠っている”免許取得者たちがバイクに乗るきっかけとなるサービスが、深見氏が主導する月額制のバイク貸し出しサービス「月極ライダー」だ。利用者に気軽なバイクの所有体験を提供することで、休眠していた免許所有者を掘り起こし、業界の活性化につなげようという意図がある。

 このサービスで特徴的なのが、ヤマハ発動機は販売店と利用者をつなげるプラットフォームシステムの運営のみを担う点だ。自社のアセットを活用するケースも多い製造業の新規事業だが、あえてアセットを使わないビジネスに挑戦したと深見氏は話した。

 続いて、エーザイ株式会社の辻本道彦氏が、自身が開発したIoT服薬支援機器について紹介した。

 現場の生の声・課題を理解することを重視するエーザイに所属する辻本氏は、患者との交流会や医療施設に何度も足を運び、実際に現場体験をしながらソリューションのテーマを掘り起こす。そして、IoT服薬支援機器「eお薬さん」を開発し、新規事業のアセットとして展開するようになったのだという。

 この「eお薬さん」は、指定時刻に決められた量の服薬を促すことで、飲み忘れや過量服薬の防止をサポートする。また、クラウドを介して患者の家族や薬剤師、ケアマネージャーなどの関係者が服薬状況を確認できる見守りサポート機能も搭載。“服薬”を軸にした新たなコミュニケーションツールとして広まりつつある。

 ここからモデレーターの梶川氏は、なぜバイクメーカーであるヤマハ発動機がプラットフォームの運営に乗り出し、製薬会社であるエーザイが服薬支援機器を開発するようになったのかを聞いていく。

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