「関係人口」とは、その地域に住んでいる「定住人口」と、観光などで一時的に立ち寄ったり宿泊したりする「交流人口」の中間にある概念として位置付けられており、副業や兼業、ふるさと納税など、地域への多様な関わりを持つ層を指す。
従来、地域活性化のためには交流人口や定住人口を増やすことが重要な目標として掲げられてたが、交流人口を増やすには「交流疲れ」を地域に引き起こし、定住人口を増やすには限られた人口を奪い合う地方自治体間のゼロサムゲームになりがちであるという問題があった。その点、関係人口は、地域への多様な関わりを持つ層を含み、非ゼロサム的であるという点から、地域活性化の「第三の道」として期待され、内閣府の掲げる「まち・ひと・しごと創生基本方針2019」においても、関係人口の創出・拡大が主要な取り組みのひとつとして挙げられてる。
ビジネスにおける関係人口「ビジネス関係人口」について、Sansanのデータ統括部門 R&Dグループは、関係人口という指標が実際に地方創生にどのような影響を与えるのか把握すべく、名刺交換に関する統計的データを基に、ビジネス上の観点から関係人口に関する分析を行った。
本研究では、ビジネス関係人口が多い自治体の特徴を定性的に分析して検証するとともに、特に、公式的な統計には反映されにくい、自主的な取り組みを活発に行っている地域が上位に現れているかどうか、という点に着目しているという。
具体的には、250万人以上が活用している個人向け名刺アプリ「Eight」で、地方の市区町村を所在地とする名刺を取り込んだユーザー数を集計し、順位付けを行った。正確なビジネス関係人口を導き出すため、ユーザー自身の拠点を示すプロフィール名刺の地域と、名刺交換相手の地域が同じ場合は集計に含めず、また順位は、従業者規模の大小で地域差がでないよう、ビジネス関係人口を地域の従業者数で割ったものをもとにしている。
ビジネス関係人口の推算結果、政府の統計などですぐには表れにくい、ローカルベンチャーやエコツーリズムのような草の根での取り組みが盛んな自治体が、より上位に位置付けられることがわかったとしている。