審査員たちが振り返る「第一回 日本新規事業大賞」
土井雄介氏(以下、土井):昨年、社内起業家に光を当てた「日本新規事業大賞」を初めて開催しました。
30社以上の応募の中から、5社が「Startup JAPAN」会場での最終ピッチに進み、大いに盛り上がりましたが、審査員として参加してくださったみなさんは、どのような印象を受けましたか。
大丸徹也氏(以下、大丸):社内起業家が、社外の人からも評価を受けられる場になったのが良かったですね。スタートアップ起業家には数十から百以上の投資家に会う権利があるのに、社内新規事業の創業者は社内の限られた人たちとしか相対する機会がないというのがこれまでの大きな課題でしたので、それを解決できる新鮮なイベントになったと思います。
及部智仁氏(以下、及部):確かに、社内の新規事業と社外の応援団をつないだという点で、すばらしいイベントでした。今後は外部VCやCVCから資金を調達できる、つまり「Venture Financeable」なスタートアップになる覚悟を持った新規事業が集まるようになれば、投資家たちもたくさん参加するようになり、コミュニティがさらに大きくなる気がします。
合田ジョージ氏(以下、合田):私は昨年審査員ではなかったのですが、新規事業の“出口”の多様性を知っていただけたのは大きな成果ですよね。新規事業は社外で活動することをポジティブに受け止めてもらえない傾向にありますが、昨年大賞を受賞したMOONRAKERS TECHNOLOGIESの西田さんは、東レの社内でも数々の新規事業を立ち上げた末に出向起業を選んだという点で、社外でも新規事業を実行できる道筋を示してくれたように思います。

土井:あと、社外と接する場だったことで、各社の社内に応援団ができたことも、個人的には嬉しいポイントでした。「社外に出すからには、絶対成功させるぞ」という共通した目標を持って、新規事業の事務局メンバーや他の社員たちが、投影資料にコメントしたり、ピッチ練習に付き合ったりしている、そのプロセス自体が尊いなと。彼らが会場に駆けつけ、自社の社内起業家をじっと見守る姿に、「社内で埋もれかねなかった新規事業に光が当たっている」と感じて胸が熱くなりました。
麻生要一氏(以下、麻生):ただ、そういった成果は前提の上で、やはり「大賞」のみにスポットを当てることには違和感が残りました。審査では、審査員全員が「ああだ、こうだ」と主張して譲らず、本気の喧嘩になりましたよね。私はそれを「審査不能」と受け取ったんです。そもそも新規事業に優劣などつけられるはずはなく、大賞を1つに絞るのは本質的でないということです。
このアワードをより良いものにするには、そもそも「新規事業とは何か」から見直すべきですし、アカデミー賞のように部門別に評価できるような仕組みを作る必要があるはずです。
