東大新入生の10%は起業を志望している
セッションはリアルタイムで会場から質問を受け付けパネリストがそれに答えていくというスタイルで、株式会社ゼロワンブースター取締役共同代表の合田ジョージ氏がモデレーターとなり、ディスカッションが進行した。
【質問1】大企業の新規事業開発において失敗を奨励し共有できる文化が日本で根付いてない中、どのようにしてこの壁を乗り越えていけば良いか?
この質問を受け、大学発のベンチャー育成を16年間支え、企業との共同研究にも取り組む東京大学教授の各務氏は、そもそも若者が抱くビジネスマンの理想像に変化が見られてきたと述べた。
これまで、大企業に就職し、失敗なく生きることが理想のビジネスマン像であったが、東京大学の学生においては変化が見られるという。東大卒の先輩が起業して成功しているロールモデルが増え、現在では東大新入生の10%は起業を志望している。
各務氏は別の角度から見た大企業の現状についても変化を語る。従来の課題としてよく指摘されるのが、スタートアップに対しての“大企業の上から目線”だ。ただ、各務氏によれば、この2、3年で大企業の“上から目線”にも大きな変化があり、新規事業開発の環境も少しずつだが良くなりつつあるのだという。
これまで大企業は「面白いことやってるけど、どう支援しましょうか?」といったようなCSR的な目線、もしくは上から目線の傾向があったが、それが大きく変わってきたという。新規事業が自前では起こしにくいという危機感から、スタートアップとの協業が生き残り戦略の一手として重要度が増している。新規事業開発の活動としてCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を作ってスタートアップに投資などを進めてきた企業がその経験で得たことも活かすことで、トップの目線が変わってきているのだろうという。