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デロイト トーマツ グループ、「デジタル人材志向性調査」の結果を発表 離職意向や潜在人材、育成など

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 デロイト トーマツ グループは、企業におけるデジタル人材の確保に向け、既にデジタル領域で活躍するデジタル人材と、今後育成対象となる非デジタル人材の両者の特性と実態を調査した「デジタル人材志向性調査」の結果を発表した。

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 本調査は、約30,000人を対象としたスクリーニング調査と、約3,700人を対象としたアンケート調査をもとに回答を得ており、デジタル人材・非デジタル人材それぞれの特性と実態を分析し、まとめたもの。

 新型コロナウイルス(COVID-19)の影響が長期化する見込みの中、あらゆる業務プロセスのデジタル化が加速することが予測されている。デジタル人材のさらなる需要の高まりを見据え、企業は優秀なデジタル人材の確保や、デジタル経験を有する人材の再活用を含めた獲得・リテンション施策、加えては、非デジタル人材のうち有力候補者に対する育成・支援強化を講じる必要がある。本調査は、企業のデジタル人材の採用とリテンション、および、デジタル人材育成の施策構築に向けて有用な示唆を提供することを目的としているという。

主な調査結果

  • 人材規模:日本の就業者人口のうち、デジタル業務経験者である「デジタル人材」は全体の12.3%(約367万人)に値する
  • 離職意向:デジタル人材のうち、全体の約3割、20代の約半数が、3年以内に離職する意向がある
  • 志向性:デジタル人材は、不確実性が高い中でも新しいことに挑戦し、世の中にインパクトを創出することを志向する傾向が強い
  • 「潜在デジタル人材」:デジタル業務未経験者の「非デジタル人材」においても、その意向と志向性を分析すると、19.8%がデジタル人材への有力候補者である「潜在デジタル人材」に該当することが判明
  • 育成機会の提供:非デジタル人材に対し、デジタル業務に関与する機会の有無を調査した結果、85.6%が「ない」または「わからない」と回答。トレーニング機会や支援の有無についても、これらの回答が89%に上った

デジタル人材の人口規模

 日本の就業者人口約3千万人のうち、デジタル領域において業務経験のある「デジタル人材」は約12.3%の約367万人と推計される(図1)。年代別で見ると、20代が14.1%と相対的に高く、年代が上がるにつれ割合が低くなる傾向にある(図2)。なお、デジタル人材のうち、現在もデジタル業務に従事しているのは57.6%にとどまり、残る約156万人のデジタル人材は現在デジタル業務に関与していない。

タイトル図1:デジタル人材の人口規模(左)/図2:デジタル人材の年代別割合(右)

デジタル人材の離職傾向

 デジタル人材の31.1%は「3年以内の離職意向がある」と回答しており(図3)、年代別にみると、20代が48.1%と特に高い(図4)。離職意向理由としては、「報酬が低いから」(23.9%)がトップで、次いで「納得感のある評価がされないから」(20.6%)が続く。デジタル人材・非デジタル人材それぞれの報酬を見ると、現状では年収は大きく乖離せず、諸外国と比較しても、デジタル人材の報酬水準は低い。日本では職能等級をベースとした報酬設計が主流だが、日本の企業もデジタル人材獲得の上で優位性を持つためには、ジョブ別人事制度の導入が喫緊の課題である。

タイトル図3:3年以内の離職意向(左)/図4:年代別で見た3年以内の離職意向(右)

デジタル人材の志向性とペルソナ分析

 デジタル人材の志向性を見ると、非デジタル人材と比較して、不確実性が高い中でもリスクを取って新しいことに挑戦し、世の中にインパクトを創出することを志向する傾向が強いことが分かった(図5)。「魅力的な仕事」「魅力的な会社」「仕事観」といった志向性を調査するカテゴリー36項目を用いたクラスター分析を行った結果、デジタル人材は「ビジョナリー・チャレンジャー型」「成果志向チャレンジャー型」「コラボレーション重視型」「仕事推進型」「コンサバ型」の5つのペルソナタイプに分類されることがわかり、タイプにより年代、役職、担当業務などの属性が異なるほか、仕事におけるこだわりといった志向性も傾向が異なる。

タイトル図5:デジタル人材と非デジタル人材における志向性(各カテゴリーで差異上位2項目を抽出)

非デジタル人材から「潜在デジタル人材」を特定し、育成するには?

 デジタル領域の経験を有さない非デジタル人材においても、当該領域に必要なコンピテンシーを持つ人材は一定数存在する。非デジタル人材にデジタル領域への関与意向を調査した結果、13.9%がデジタル領域に「関わりたい」「どちらかというと関わりたい」と回答した。さらに、非デジタル人材の志向性とコンピテンシーを分析したところ、デロイト トーマツの持つ知見・経験も踏まえると、全6タイプのうち「チャレンジ&合理バランス型」「条件付きチャレンジャー型」の2タイプが、相対的にデジタル領域への行動・意識特性の適合性が高いと考えられる。 そこで、非デジタル人材における「デジタル領域への関与意向」と「行動・意識特性の適合性」の2軸をもとに、有力な育成候補者である「潜在デジタル人材」を導いた結果、全体の19.8%が該当することがわかった(図6)。

タイトル図6:有力な育成候補者である「潜在デジタル人材」の考え方

デジタル領域に関与する機会の提供状況

 上述のように「潜在デジタル人材」が一定数存在する一方で、企業はこれらの人材に対してデジタル領域に関わる機会を充分に提供できていないことも、本調査で実態として明らかとなった。非デジタル人材に対し、異動や職種変更でデジタル業務に関与する機会があるか調査した結果、85.6%が「ない」または「わからない」と回答した(図7)。また、同様に、デジタル領域のトレーニング機会や支援の有無についても、「ない」もしくは「わからない」と回答した割合は89.1%に上った(図8)。

タイトル図7:異動や職種変更でデジタル領域の業務に就く機会 (職種変更・異動かプロジェクトベースいずれか)(左)/ 図8:デジタル関連の知識・スキルを習得するトレーニングやトレーニングを受けるための支援 (右)

日本企業のデジタル人材確保に向けた提言

 デジタル化が加速し、デジタル人材の需要がさらに高まることを見据え、企業はデジタル人材の実態に対応した獲得施策を講じる必要がある。デジタル人材の採用に向けて攻勢を強め、優秀な人材にとって魅力的な報酬制度を構築することで採用力を強化できるだろう。また、現在デジタル領域を離れているデジタル領域経験者も有力な人材である。こういった人材の再活用に向けて、企業は従業員のスキルや経験を漏れなく把握し、それらを活かした配置を行うタレントマネジメントの強化が必要である。

 志向性を見ると、デジタル人材は不確実性が高い中でのチャレンジやコミットメントを求めるが、現状ではその働きに見合った評価やキャリア開発の仕組みがない企業も多く、エンゲージメント低下・離職の一因となっている。従来のジェネラリスト輩出に焦点を当てた全社一律型制度を脱却し、専門職向けのキャリアトラックの整備を含めた人事制度の改革を進めることが求められる。

 最後に、COVID-19下では現行社員を最大限有効活用すべきであり、デジタル人材の内製化は各企業での必須アジェンダとなる。このためには、デジタル化を全社に拡張し、デジタルリテラシー向上に向けた活動を加速させることが肝要であり、全社的なプログラムの提供やデジタル部門の活動・成果の社内展開などが有効と考えられる。ポテンシャルの高い人材のマインドシフトを図りながら育成し、トレーニング機会を提供することで、企業は非デジタル人材を戦力化できる。


調査概要

 本調査は、デジタル人材の採用・リテンションに有用な示唆を得るため、デジタル人材の志向性や職場に対する意識、今後のキャリア希望を把握すること、および、今後のデジタル人材育成のための施策構築に向けて、非デジタル人材のコンピテンシー保有状況と育成可能性を分析することを目的としている。

  • 調査形式:Webアンケート方式
  • 調査時期:2020年2月7日~2020年2月9日
  • 調査対象/有効回答数: 29,164サンプル(スクリーニング調査)、3,725サンプル(本調査)

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BizZine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

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