ビジネス向けSNS「リンクトイン」から見えたコロナ禍での求職者の動き
リンクトインとは、「キャリアを伸ばしたい」「転職などの新しい機会を探す」といった個々人のキャリアに関する情報を発信・閲覧するSNSで、全世界でのユーザー数は7億600万人超(日本で200万人超)で、24言語200カ国以上で展開している。リンクトインのビジョンは、「世界で働くすべての人のために、経済的なチャンスを作り出す」。個人ユーザーは、企業アカウントを含めた様々なユーザーから情報を取得することができ、また企業は自社の最新情報や求人情報も発信できる。さらにリンクトインから、個人ユーザーにはキャリア形成やスキルアップの支援サービスの情報を提供。リンクトインではターゲット人材がいる企業の人材獲得先、平均勤務年数、離職者がどの企業に転職したか、また、個人が転職機会にオープンか、会社が発信した情報に触れたことがあるかなどのデータが閲覧できる。これらのデータを活用することで、“オファーを受諾してくれやすい人材”にターゲットを絞ることができるのだという。
では、テレワーク需要が拡大し始めた3月、4月において、リンクトイン上でのユーザーの動きはどう変化したのだろうか。
楊氏は「企業側からの情報発信数も、個人ユーザーの閲覧数も全体的に上昇していた」と紹介した。また、求人情報の発信、アクセスは下がったものの、直接オファーするスカウトメールへの返信率は横ばいだったと話す。
このことから、「人材側は、先行きが不透明な状況から積極的な転職活動は控えているものの、情報収集そのものは積極的に行っている」と分析。その上で「企業が情報を発信するタイミングとしては最適。転職潜在層にアプローチすることが、今後の採用活動に中長期的な影響を与えるのでは」と語った。
現在のような状況で企業が発信すべきなのは「ポジティブな情報」だと話す。
「企業のカルチャーや特長を表現するようなもの、社会への貢献、自社スタッフへの支援、お客様第一目線の投稿などは世界的にエンゲージメントを向上させる効果が高く、企業ブランディングの有効な手段となります。こうした発信を継続することで、将来的な採用活動を有利に展開できます」