セミナーレポート Biz/Zineセミナーレポート

昭和電工による“知財DX”の実践──「AI活用による特許情報の効率的収集」と「IPランドスケープ」

登壇者:昭和電工株式会社 知的財産部 情報グループ 増嶌稔氏

 変化の激しい今日のビジネス環境において、企業が持続可能な事業を構築するためには新たな技術戦略が求められている。その中で、企業にとって知と技術の結晶である知財情報を戦略的に経営に活用する企業が増え始めている。今年のPatentSight Summit Japanでは、「経営に戦略的に活かす知財情報」をテーマに、業界の知財リーダーによる知財活用の具体的なアプローチや実践事例が共有された。本稿では、昭和電工知的財産部情報グループの増嶌稔氏の講演内容を紹介していく。

[公開日]

[講演者] 増嶌 稔 [取材・構成] 中原 絵里子 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] AI・機械学習 企業戦略 知財 IPランドスケープ SDI

  • ブックマーク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

登壇者プロフィール:昭和電工株式会社 知的財産部 情報グループ 増嶌 稔氏

電機メーカーにて製品開発・設計を担当。その後、特許庁にて特許審査官、コンサルティングファームにて知財戦略、R&D戦略にかかるコンサルティング業務を経て2019年4月より現職。特許分析を活用して、事業戦略、研究開発戦略の立案をサポート。

昭和電工の「三位一体」の知財戦略とは

 増嶌氏は、外資系電機メーカーにて機械系のエンジニアとして従事した後、特許庁で特許審査官に。技術と知財の知見を活かし、コンサルティングファームや情報DBベンダーにて知財情報を使った分析コンサルタントを務めた。その後昭和電工に入社し、知的財産部でIPランドスケープ活動に従事している。本セッションでは、昭和電工の目指すIPランドスケープの活用について解説を行った。

 昭和電工では化学分野を中心とした様々な事業領域を持つ中、中期経営計画では、それぞれの事業領域で「個性派企業」を目指している。そのビジョンを実現する手段として「Customer Experienceの最大化」を掲げ、戦略基盤の1つとして「AI・IoTの強化」に取り組んでいる。

 2018年3月にAI推進プロジェクトを立ち上げ、製品設計や生産において培ったノウハウやプロセスの可視化や形式知化において、デジタル化を推進してきた。それを踏まえて、知的財産部の活動方針としても「AI活用によるインテリジェンス機能の拡充」を掲げている。

【知的財産部の活動方針】

  1. 知的財産権の質の維持と出願件数確保
  2. グローバルな知財網確立とリスクの最小化
  3. AI活用によるインテリジェンス機能の拡充

 「AI活用によるインテリジェンス機能の拡充」とは、具体的に「AI活用」と「IPランドスケープ」の2本柱で取り組んでいると、増嶌氏。

 まず1つめの柱として掲げる「AI活用」に関して、事例が紹介された。

 知的財産部でのAI活用では、「効率化」「自動化」「価値創出」のカテゴリに分け、その中でも「効率化」に焦点を当て、R&D部門の特許閲覧に費やされている負荷の軽減を目指してAIを導入した。特定領域に関する特許公報を継続的に収集・精査する「SDI(Selective Dissemination of Information)」調査において、昭和電工ではその読解を開発者自身が行っている。読解時間に1か月間で400時間以上をかけている開発拠点もあり、この負荷を軽減することで、少しでも多く、本来の研究開発に時間を回せる状態を創出することを目的とした。

バックナンバー