対応の効率化ではなく、継続的な関係構築のための「非対面接客」
急速に注目を集めつつある「非対面接客」。手法としては様々あるものの、その多くがbotを用いてお問い合わせ対応をいかに効率化し、コストを削減するかが目的となっているという。しかし、空色では、「デジタル(チャット)」×「接客(有人・AI)」を掛け合わすことで、ブランドや店舗のファンを増やし、売上につなげることを目的としてきた。いわば「攻め」のサービスとしての位置づけというわけだ。
これまで空色では、有人チャットおよび自動シナリオ対応のチャット接客ツール「WhatYa」を軸に、チャットリソースとして「有人チャット対応」およびAIによる「自動シナリオ対応」を提供し、事業分野ごとに最適化したWeb接客センターとして代行することが多かった。しかし、近年は自社内で人的リソースも含めたWeb接客センターを内製化しようという企業が増えていることから、立ち上げ・運営支援を行うコンサルティングサービスのニーズが高まってきたという。それも小売物販やアパレルなどの事業者だけでなく、近年では電鉄や雑誌社など多彩な事業者・業界からの依頼も急増している。
その背景には、「新型コロナウイルス感染症」の影響が大きい。いまだ店舗の閉鎖や営業時間の短縮に加え、来店者そのものが減少し、リアル店舗での売上が激減している。それによって、貴重な人的リソースであった販売員の雇用も脅かされ、流出を余儀なくされると同時に顧客との交流や関係性も大きく阻害されている。店舗やブランドのファンを失う危機に瀕していると言っても過言ではない。当然のことながら、この危機を招かないために、また被害を最小化するために、様々な打ち手がとられるべきであり、その有力な1つが「非対面による接客」というわけだ。
中嶋氏は「オンラインでの接客の場を構築することでスタッフの雇用を守ると同時に、リアルな店舗で買い物を楽しんでいた顧客に、ECサイトの中でも同等の接客体験を提供できるようになれば、企業と顧客の関係性を継続することができる」と述べ、「長期間にわたって関係性を保ち続けることが重要だ。短期間での売上向上であれば『プロモーション』が効果的かもしれないが、複数回の購入やセール以外のプロパー購入を望むのであれば、非対面接客も含めた『継続的な関係構築』が必須になる」と語った。