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アマゾン流、新規事業の“考え方”

アマゾン流リーダーシップにおける4つの領域──全社員にリーダーシップが必要な理由と育成方法とは?

第5回

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 前回は、成長し続ける組織と人材を育てる仕組みについてご説明しました。今回は、人材育成の中でも一番大事なリーダーシップについて、アマゾン流のリーダーシップの定義、全員にリーダーシップを求める理由とその育成などをご説明します。具体的には、社内向けプレスリリースのリーダーシップ育成での活用、1on1ミーティング、オフィスアワーの取り組みなどを紹介します。

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アマゾン流リーダーシップの基本は“動詞”と“2枚のピザ”

 皆さん、リーダーと聞いてどんな人を思い浮かべますでしょうか? 著名な経営者、ラグビーの日本代表チームのキャプテン、漫画の主人公など。余談ですが、私のリーダーシップの教科書は、アマゾンに加えて漫画が多く、中でも「ワンピース」はとても参考になります。さまざまなイメージを持つ人がいると思いますが、カリスマ性を持った人やぐいぐい引っ張っていくタイプを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

 そういうイメージを持つと、自分はリーダーになれるとは思わない、リーダーシップなんて遠いことと思われる方もいらっしゃると思います。

 しかし、リーダーシップは持って生まれたものではなく、実は後天的に身につけることが可能な「スキル」なのです。したがって、誰もがトレーニングをすれば身につけることが可能なのです。スキルと聞くと、少し身近に感じられますよね。実際、アマゾンでは社員全員がリーダーであるという考え方のもとでそれぞれリーダーシップを高めるためにゴール設定をし、それを達成すべく、日々の業務を行っております。

 では、リーダーシップとは具体的に何なのでしょうか? このコラムでも何回かご紹介した通り、アマゾンでは14項目からなるOur Leadership Principles(OLP)という行動規範があり、この規範に則た「行動」ができるとリーダーと認められるのです。14項目は少し多いですし、アマゾン特有のFrugality(倹約精神!) などもあるので、リーダーシップを理解しやすくするためにも、この14項目を少し整理して説明します。

 どんな組織でも通用する普遍的なリーダーシップは、以下に挙げる4つのエリアから成り立っていると考えられます。そして、それぞれのエリアが、どのようなもので構成されているかをアマゾンのOLPを参考にいくつか例示してみました。

(1)考え・判断

  • ファクト・数字を見て徹底的に分析し状況を把握する
  • 物事をシンプルに考え、問題解決をする
  • 大きく考える
  • 正しい判断をする

(2)コミュニケーション

  • 耳を傾ける
  • 率直に話し、相手に対し敬意を持って接する
  • 間違いは素直に認め、自分やチームの間違いを正当化しない
  • 反対意見がある場合は、敬意を持って異議を唱える
  • 徹底的に議論し決まったことには、全面的にコミットして取り組む

(3)主体性・実行力

  • チームのために自ら率先して行動する
  • 顧客(組織内も含めて)のニーズを満たす
  • インプットにフォーカスする
  • 妥協しない

(4)学び、適応し、チームと共に成長

  • 常に学ぶ
  • 高い水準を追求する
  • 次のリーダーを育成する

 ここで皆さんおわかりのように、この4つを構成するのは、「人間性」などといった「名詞」ではなく、すべてアクション可能な「動詞」だということ。リーダーシップに関する本を読むことや、トレーニングを受けるのは有意義なことですが、リーダーシップスキルを確実に身につける方法は、上に挙げた例のようなことを日々実行していくのが一番です。

 そして、メンバー全員がリーダーとして活躍できるよう、アマゾンには「Two Pizza Team(2枚のピザチーム)」という仕組みがあります。これは、チームの人数は、2枚のピザでお腹がいっぱいになるぐらいの人数が丁度良い、ということが由来となっています。ピザ2枚だと4から8名程度です。これくらいの人数だと、全員が積極的に意見を出し、業務やプロジェクトのプロセスに貢献し、意思決定に参加できるからです。人数が多くなると、聞いているだけの人や追随するだけの人が出てきます。そうなると全員がリーダーという状況を作るのは難しくなってしまいます。

 私もアパレルビジネスを統括していたときに、Two Pizza チームの仕組みを導入しました。アパレル事業本部は、商品部・プランニング部・CX部などというように職務ごとで部を分けており、それぞれの部にメンズやレディース、と言ったカテゴリーの担当がいました。職務ごとの部では、それぞれのプロジェクトやスキルの向上などを行います。実際のビジネスの運営は、カテゴリーごとにTwo Pizzaチームを作り、そのチームがPL責任を持ちビジネスをドライブするようにしました。PL責任を持つと、チームメンバー全員が、どうしたらそのビジネスが良くなるのか広い視点で考え、意見を出し、積極的に参加し、業績もどんどん上がっていきました。誰もが意思決定に参加できる素晴らしい仕組みです。そして、ビジネスが大きくなり、チームが大きくなると、カテゴリー分けをして新たなTwo Pizza チームを作るのです。

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この記事の著者

太田 理加(オオタ リカ)

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