インタビュー ネオ・コーポレート経営

社外取締役の役割はCEOの長期的経営を支えること──入山教授と語る日本企業に必要な本当のガバナンス

ゲスト:早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授 入山章栄氏

 早稲田大学大学院の入山章栄教授との対談後編では、教授が多数の企業の社外取締役を経験する中で感じたコーポレートガバナンスのあるべき姿について話し合った。両氏の議論は、資本主義や株式会社という枠組みを超えたサステナブルな経営のあり方にまで発展した。

[公開日]

[語り手] 入山 章栄 日置 圭介 [取材・構成] やつづかえり [写] 長谷川 梓 [画] 青松 基 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] 企業戦略 社外取締役 コーポレートガバナンス サクセションプラン

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7つの要素が噛み合って、経営のサイクルが回り始める

入山章栄氏(早稲田大学 大学院経営管理研究科 教授、以下敬称略):前編の話や日置さんの『ワールドクラスの経営』を読んで感じるのは、この図に描いた要素の全部が「噛み合っている」ということです。

タイトル

 会社にはちゃんと「パーパス&バリュー(企業文化)」がある。それに向かって長期的に取り組んでいけるCEOがいる。そうすると「両利きの経営」の「知の探索」ができます。ただ、それには「深化」のほうでガッツリ稼ぐ必要があり、そのためには「システムやIT」で仕組みを作る必要があります。ポチッとボタンを押せばすぐに数字が出てくるようなシステムができれば、ガバナンスの健全化にもつながります。僕は社外取締役をやるようになって、社外取締役たちが長期でCEOを応援してあげるようなガバナンスのあり方が特に重要だと感じています。こういうことが全部噛み合うと、「経路依存性」のうえにポジティブなサイクルが回りだすと思っています。

 でも、これまでの日本は真逆のサイクルになっていますよね。まず、パーパスがない。そしてCEOは任期が決まっていて短期で変わる。社内のシステムはバラバラで社外取締役はお飾り。結果として「探索」が続かず「深化しかやりません」ということが起きています。これに加えてメンバーシップ雇用があり、高度経済成長期にガッツリ噛み合っていたわけです。だから、変えるにはこれらの全部を変えないといけません。そこに産みの苦しみがあるわけですが、全部を徐々に変えていけば、結果が出るとも感じています。

日置圭介氏(ボストン コンサルティング グループ パートナー&アソシエイト・ディレクター、以下敬称略):そうですね。そういう形で「日本企業らしい長期的経営」が見えてくるといいですよね。

 前編で日本の企業は「組織変更」で問題を解決しようとしたがるという話をしましたが、入山さんが描かれたような経営の要素がカチッとハマっていない状態で組織デザインをしても、意味がないですよね。

入山:そうです。組織の形だけ変えても意味がない。

日置:大事なのは組織という“箱”ではなくて、ファンクションですよね。

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