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ネオ・コーポレート経営

入山教授と考える「両利きの経営」と「コーポレート」の関係、CEOの「リバースメンタリング能力」とは?

ゲスト:早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授 入山章栄氏

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 『ワールドクラスの経営』(ダイヤモンド社)の主著者である日置圭介氏をナビゲーターに、グローバルをビジネス基盤として活躍する企業「ワールドクラス」の“経営の型”を、特にコーポレート部門の観点から明らかにしていく本連載。ゲストを迎えての最終回は、初回の対談にお招きした早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授 入山章栄氏とともに、「両利きの経営」ができる組織とそれを支える社外取締役について考える。

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「深化と探索」の前に「足すと引く」の「両利き」が必要

日置圭介氏(以下、敬称略):この連載を始める際、入山さんと一緒に7角形のフレームワークを作りましたね。歴史ある大企業など、過去の仕組みや出来事が今の意思決定に影響を与えるという「経路依存性」を持たざるを得ない企業でも、この7つの要素が噛み合えばうまく経営が回るだろうという仮説でした。

ネオ・コーポレート経営
クリックすると拡大します

 その後、この図の要素に関わる方たちと議論を重ねてきました。元同僚で今はMN & Associatesの代表として戦略人事のコンサルタントをしている中島正樹さんとは、CHROの仕事や、人材を見出し育てるという取締役会の役割について議論しました[1]。みさき投資の中神康議社長には、CEOとCFO、そしてCEOを長期的にサポートするコーポレートガバナンスのあり方について、経営者・従業員・株主がみなで豊かになる「三位一体」の視点の重要性を含めて多くの示唆をいただきました[2]

 さらに、日本を代表する企業において、経営チームのコアポジションであるCHRO、CLO、CFOの役割をそれぞれ担う、アサヒグループホールディングスの谷村圭造さん[3]さん、日立製作所の児玉康平さん[4]さん、資生堂の横田貴之さん[5]に、ご自身のキャリアや取り組んできた課題などについてお話いただきました。皆さん、グローバル化というテーマに取り組む中で、組織として変わらず残すべきことを見極めつつ、必要な変化を遂げていくための仕組み作りなどに注力されていました。

 直近では、経済産業省でコーポレートガバナンス・システムのガイドライン策定を担当された安藤元太さんにお越しいただき、企業がコーポレートガバナンスをどう捉え、形式的ではなく実効性ある仕掛けとしてどう実践していくべきかといったことについて話し合いました[6]

 先のフレームワーク中では「両利きの経営」の部分のみカバーできていません。今日は入山さんと、この点についてお話できたらと思います。

入山章栄氏(以下、敬称略):素晴らしいメンバーですね、今日の趣旨も分かりました。

日置:僕としては、いわゆる「知の深化」と「知の探索」の両利きの前に、「足す」と「引く」の両利きという「リソースアロケーション」をきちんとやる必要があると考えています。限りある経営リソースを空けていかないと、探索どころか強い深化もままならないと思いますから。そういう観点も含めて、入山さんから見て、今の日本で「両利きの経営」をうまくやっている企業はありますか?

両利きの経営とリソースアロケーション
両利きの経営とリソースアロケーション/※クリックすると拡大します

入山:僕が直接関わっているわけではありませんが、外から見て「できていそうだな」と感じる会社は結構ありますよ。例えばコマツさんがそうですよね。東レさんも気になります。技術の深化が異常に進んでいるんですけど、それって結局は探索なんじゃないかと思うんです。その技術でユニクロと組んでいたりしますからね。

日置:技術という要素を深化させつつ、それを適用する用途開発として探索を行っているという両利きですね。


[1]「人材獲得・育成競争」から「人材中心主義経営」へ──経営変革のためのタレントマネジメントとは?

[2]みさき投資 中神社長に聞く、厳選投資家が求める「複利の経営」とは──長期の参入障壁とBSマネジメント

[3]メガトレンドを“企業理念のレンズ”で眺め、組織能力とエンゲージメントを向上させるCHROの役割とは?

[4]日立製作所CLO児玉康平氏に学ぶワールドクラスの経営──ネゴシエーターとしての法務による日本流勝ち筋

[5]資生堂横田CFOと語る「ワールドクラスの経営」──戦略実行の推進役「カタリスト」としての役割とは?

[6]コーポレートガバナンスを成長のツールに──経済産業省 安藤氏に聞く「監督」と「執行」のあるべき関係

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やつづかえり(ヤツヅカエリ)

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