今後ますます重要になっていく外国人市場
「新型コロナウイルスの影響で多くの仕事、取引がオンライン化するなか、各社はデジタル・トランスフォーメーション(DX)を進めています。新型コロナウイルスの収束にどのくらい時間がかかろうとも、国内市場の縮小傾向を考えると、企業が生き抜くためには効率的なDXとコスト削減、多角化推進が必要になってくるでしょう」
松岡氏はこのように講演を始めた。
日本において、生産年齢人口は1995年をピークに減少傾向に転じている。総人口も2008年をピークに減少に転じた。そんななか、人手不足を背景に順調に伸びているのが「在留外国人人口」である。出入国在留管理庁によると、2020年6月末の時点では新型コロナウイルスの影響で微減しているものの、2012年以降は増加傾向にある。その数は286万人と、無視できない大きさだ。2019年4月に施行された改正入管法もあって、今後も在留外国人数は伸びていくと考えられる。さらに在留外国人の増加に伴って、国内から国外への個人送金額も増加傾向にある。THE WORLD BANKによると、2019年の時点で約68億ドルの送金が年間でなされており、SBIレミット株式会社では、海外向け送金取扱累計額(円換算額)が9,000億円を突破している。
一方で、国内投資額に目を向けても、東京証券取引所の投資部門別売買状況を見ると、2010年は海外投資家が47%だったのに対して2019年には海外投資家の割合が61%と伸びている。海外投資家への情報開示も、重要性を増すばかりだ。
さらにSDGs貢献の観点からも、国内外国人支援は重要になってくると松岡氏は主張する。なぜならSDGsの10番「人や国の不平等をなくそう」、11番「住み続けられるまちづくりを」はその国の国籍を持つ人だけではなく、そこに住むすべての人を対象にしていると考えられるからである。在留外国人は言語によって日本国内で不自由を感じていることも多い。