創造力に対する自信(Creative confidence)とは
兄のデイビッドとともに、シリコンバレーの小さなデザイナー集団だったIDEOを世界で最もイノベーティブな企業と評されるまでに成長させてきたトム・ケリー氏(以下、ケリー氏)。同社は初代アップルのマウス、世界初のラップトップPCの開発などの初期の「製品イノベーション」から次第に「顧客エクスペリエンスや組織の再設計」を手がけるようになり、近年ではデザイン思考に基づく「イノベーション文化」の普及に取り組んでいる。
ケリー氏は、そのキャリアを通じて、世界中の優れたヴィジョンを持つリーダーたちの知性や感性の働かせ方を観察する機会に恵まれた。その体験から、創造性を発揮するためには「創造力に対する自信」が必要だと説く。
「創造力に対する自信」は2種類の能力、「いいアイデアを思いつく」という本来誰もが備え持っている能力と「行動する勇気」で形成されます。創造力に対する自信についての本(邦題『クリエイティブ・マインドセット』日経BP社)を書くために世界中でインタビューを実施したところ、多くの人々、特に若者や組織に属する人々は、ある問題を解決できるかもしれないアイデアはあるのに、奇異に見られたり、批判されたりすることを恐れて、手をあげない(アイデアを発表しない)のだとわかりました。創造性はもともとあるのですから、それに行動する勇気が加わりさえすれば「創造力に対する自信」は生まれるのです。