2025年6月、ジャパン・アルムナイ・アワード実行委員会が主催する「ジャパン・アルムナイ・アワード2025」の受賞組織・個人が発表された。
本アワードは、5年前に「組織とアルムナイの新しい関係」を可視化・推進することを目的に創設された。アルムナイ(企業等の退職・卒業者)と組織の関係は一時の流行から、すでに多様な業界・地域に定着した企業戦略となりつつある。今年度は「価値創出」「コミュニティイノベーション」など新部門を設け、全37件の応募から、グランプリ1件、部門賞に8社、個人賞に3名が選出された。
グランプリには、DeNAとデライト・ベンチャーズの共同運営による「DeNA ALUMNI」が輝いた。元社員を「共にDelightを生みだす存在」と捉えた長期的ビジョンのもと、Slackや各種イベントで交流を推進。再雇用、スタートアップ支援など多面的な循環型人材活用で成果をあげ、「次の進化のベンチマーク」と高く評価された。
「志のデザイン部門」最優秀賞にはイオンモール、紀陽銀行、北洋銀行が選ばれた。イオンモールは再入社制度を刷新し、アルムナイの現在と未来に着目した施策を展開。紀陽銀行と北洋銀行は、行内外起業プロジェクトや地域連携の強化を通じ、地方銀行が地域社会と人材のつながりを再定義する事例として合同受賞となった。
「価値創出部門」ではコスモスイニシアとトヨタ自動車が表彰。コスモスイニシアは不動産業界でアルムナイとの協業を多様なビジネス実践に展開。トヨタは再雇用・協業のみならず、社員とアルムナイの意見交換やガイドライン整備など変革を全社的に推進し注目を集めた。
「コミュニティイノベーション部門」には、KPMGコンサルティング、および三菱UFJ銀行・三菱UFJ信託銀行の合同受賞が決定した。KPMGは社内外への認知拡大や起業家コミュニティ創設などイノベーションを加速。MUFGグループはグループ合同イベントを通じて組織を超えた連携が拡大し、今後の金融業界のロールモデルとして評価された。
個人賞としては、りそなグループ、大平浩之氏、政策金融公庫 重松理貴氏、パナソニック 岩坂潤氏が受賞。在籍・卒業後も良好なネットワークを築き、価値ある活動を推進した功績が認められた。
審査員による総評では、「アルムナイの型」が形成されつつある中、ブランド力や個性の際立った関係性づくりの重要性が指摘された。また、アルムナイの広がりが大都市圏から地域へ拡大している点も注目された。
今後、企業変革や新規事業領域でもアルムナイの活用は一層重要性を増すとみられ、多くの組織が新たな人・価値の循環モデル構築に挑戦している。
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