H2Oneマルチステーションは、燃料電池車への水素充填や、敷地内の建物、電気自動車への電力供給が可能であり、既に2020年11月より敦賀市内で稼働している。
福井県では、嶺南市町などと連携し、便利で災害に強く、環境にもやさしい街づくりを目指す「嶺南スマートエネルギープロジェクト」を推進している。この一環で、関西電力などが電気自動車や太陽光発電、水素を活用したVPP(Virtual Power Plant:仮想発電所)構築の実証実験を進めている。
今回、H2Oneマルチステーションは、このVPPの分散電源リソースの一つに加わり、エネルギーを賢く使う地域づくりの実現に貢献する。実証実験では、関西電力から電力の需要を上げる要請があった際には、H2Oneマルチステーションで水を電気分解し、水素を製造する。また、電力の需要を下げる要請があった際は、溜めておいた水素を利用し、燃料電池で発電し、必要な電気を供給する。
また、H2Oneマルチステーションに追加した水素払出機能を用いることで、水素インフラのない場所でもグリーン水素を活用することが可能となる。H2Oneマルチステーションから払出した水素を貯蔵したカードルと、今回開発した簡易水素充填機を外部へ運び出し、具体的には、敦賀市内や、近隣エリア、嶺南地区等の燃料電池搭載フォークリフトなどに活用することを想定している。簡易水素充填機はコンパクト化を進めたことで、一般的な運搬車両での取り回し運用を可能としている。
敦賀市および東芝エネルギーシステムズは、今回のVPPの実証実験への参加および水素払出しを通じたグリーン水素の利活用を進めていく。両者は、水素サプライチェーンの構築を通じ、再生可能エネルギーの普及を促進し、脱炭素社会へ貢献していくとしている。