レンタル移籍だけでは足りないゼロイチの発想力
細野 真悟氏(株式会社ローンディール 最高戦略責任者、以下敬称略):今日はよろしくお願いします。さっそくですが、深田さんが代表を務めるゲームチェンジャー・カタパルトについて、簡単にご紹介いただけますか。
深田 昌則氏(パナソニック株式会社 アプライアンス社 ゲームチェンジャー・カタパルト 代表、以下敬称略):私はパナソニックの中で主に家電を担当するアプライアンス社という事業カンパニーに所属しています。その中で、新規事業開発のための社内アクセラレーターとして、2016年に立ち上げたのがゲームチェンジャー・カタパルトです。
社内公募でアイデアを募り、これというものに予算をつけ、我々事務局が伴走し、チームが事業を作っていきます。社会課題を起点にしているテーマが多いこと、発案者本人のパッションを大事にするところに特徴があります。
この5年で約220個の事業アイデアが寄せられました。その中から、事業として売り上げが立つところまで来ているものも、いくつか生まれています。
細野:私はローンディールという会社でCSOを務めているのですが、そのメイン事業であるレンタル移籍事業は、緩やかながら成長軌道に乗っている一方、課題もあります。
レンタル移籍で大企業からベンチャーへ出向することで、圧倒的な主体性やマーケット感覚を身につけて帰ってくるのは確か。ですが、創業者が発案しているところにジョインするわけなので、何もないところから新しい事業を生み出す、ゼロイチの経験ができるわけではありません。
しかし、レンタル移籍から帰ってくると、自社ではなんでもできるスーパーマンのように扱われます。「新規事業を生み出せ」「DXを進めろ」と無理難題を求められ、どうにか期待に応えようと奮闘するのですが、結果を残せず落ち込む人を何人も見てきました。
また、私は個人事業として大企業の新規事業開発のアクセラレーターも務めていますが、そもそもの着眼点や発想力が一定のレベルを超えない限り、何千個のアイデアをプログラムに載せたところで、最終的に事業やサービスまではたどり着かないという課題があります。
こうした課題意識を背景に、そもそもの発想力を底上げする研修プログラムとして立ち上げたのが「outsight」であり、今回深田さんに対談をお願いした経緯でもあります。