連載・コラム リモートでの事業創出力の鍛え方

街の電器屋さんは“サブスク”の先駆けだった──「新規事業」と「DX推進」の関係性からDXを紐解く

ゲスト:パナソニック株式会社 アプライアンス社 ゲームチェンジャー・カタパルト 代表 深田 昌則氏

 今回は、パナソニック アプライアンス社 ゲームチェンジャー・カタパルト代表の深田昌則氏をゲストに迎え、より実践的な側面から事業創出の方法論を探っていく。前編に続く本稿では、新規事業と同時に企業での大きなイシューとなっている「DXの推進」に関して、ものづくり企業でのDX推進という立ち位置から、深田氏に取り組みを伺った。ものづくり企業にとってのDX推進の意味、新規事業とDXの推進の関係性、アフターコロナを見据えた企業と個人の関係性の変容にまで話題が及んだ議論をお届けする。

[公開日]

[語り手] 深田 昌則 細野 真悟 [取材・構成] 鈴木 陸夫 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] 企業戦略 UX サブスクリプション 両利きの経営 DX

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経営の両輪である新規事業開発とDX推進の関係性とは

細野 真悟氏(株式会社ローンディール 最高戦略責任者、以下敬称略):大企業の中で今、新規事業開発と並んで大きな課題としてあるのがDXの推進です。両者の関係性について、深田さんはどう整理されていますか?

深田 昌則氏(パナソニック株式会社 アプライアンス社 ゲームチェンジャー・カタパルト 代表、以下GCカタパルト、敬称略):そもそもなぜ大企業が新規事業をやるのかと言えば、それは事業ポートフォリオの新陳代謝のためでしょう。その際には、いわゆる「両利きの経営」で、既存事業の基本的な稼ぐ力の強化・維持と、新規事業開発(オーガニックに社内で事業開発するケースと、戦略的M&Aとがあるが、その両方)をセットで進めなければなりません。

 GCカタパルトがやっているのは後者。他方、基本的な稼ぐ力の維持・強化という意味で、既存事業のデジタル化も進めなくてはなりません。そのために、デジタルをベースにしたトランスフォーメーションをスピーディに実行できる組織能力を獲得することが、大企業では急務になる。こうした文脈で大企業は今、人材、財務、ノウハウ、組織体制、企業文化を変えていくことに取り組んでいるわけです。

 では、「デジタルをベースに」とはどういうことか。

 いわゆるデジタルトランスフォーメーションとは、アナログをデジタルに置き換えるという単なるオペレーション改革ではなく、一方でデジタルを前提としない単なる企業変革でもなく、デジタル化を前提にした価値提供そのものの改革だと考えています。

 これはさらに噛み砕けば、「UX=顧客体験」にベースを置いたものへと、価値提供のしくみを変化させていくということです。

 我々がやってきた従来の「(いわゆる)モノ事業」では、お客様にモノを提供する際の1回しか提供価値が生まれませんでした。これが「サービス事業」になると、継続的に体験価値が生まれ、そういう場面を提供するという傾向が強くなる。この「顧客価値の創出・提供が継続する」というのがDXの本質だと思っています。

 ですから、GCカタパルトの考えるDXの推進とは、顧客価値の創出・提供が継続する事業へ変革していくことと考えています。既存事業はデジタルをベースに「サービス事業」的な価値提供へとあり方を大きく改めることが求められるし、新規事業を生み出す立場である我々が手がけるのも、新たな「モノ事業」というよりも、「サービス事業」的な価値提供を目指しています。

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