連載・コラム アップデートする事業開発

金融・小売・製造業の未来から考える事業開発の進化論──なぜアジャイルな組織とパーパスが重要なのか?

第3回

 第1回は、事業会社と支援会社が「上意下達」「委託と請負」といった関係性ではなく、「共創型」でプロジェクトを実行することが鍵となること、第2回では、新規事業やDXへ取り組む際に組織がアジャイルな発想で意思決定を行い、学習サイクルを回しつづけることが事業成長の鍵になることを解説しました。
 今回は、金融・小売・製造業の将来像を描くことから、事業開発の進化を予見してみたいと思います。なぜ事業会社と支援会社がワンチーム体制で共創型の事業開発やDXに取り組むべきなのか。その際にアジャイルな組織構造で臨むべきなのか。唯一解がない時代にパーパスやビジョンがなぜ重要なのか。連載の最終回として、ゆめみとしての考えをまとめたいと思います。

[公開日]

[著] 曽根 誠

[タグ] 事業開発 DX アジャイル型組織 コ・デザイン

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やりながら検証し即時撤退も辞さない、アジャイルな「思想」と「組織」

 今回は、銀行・保険・小売・製造といった業界ごとに、近い将来像を描き、今後の社会の変化を想像してみたいと思います。

 このあと将来像を予見するすべての業界で共通しているのは、

  • 進化したデジタル社会は個社や各業界の縦割り視点では太刀打ちできない状況になる点
  • 他業界の多様な知見をより早く獲得してサービスへ転化する敏捷性が求められている点

です。

 これまでは、個社や業界の課題に“唯一解”が存在して、それに向かって物量作戦を採用できる時代でした。これからは、そもそも「何が正解かわからない時代」であり、今やっていることを正解にしていくことに注力し、可能性がなくなったら即時撤退する、そんな敏捷性が求められます。即時処理・連携・リーン開発とも言い換えられます。これは、これまで日本企業が得意としてきた、蓄積&分析・囲い込み・作り込みとは真逆の考え方となります。

 組織としてのあり方を変えずに、個社で即時処理・連携・リーン開発ができるような社員を採用し、育てあげ、他業界とも交流して多様な知見を得てサービスをつくり出すには何年かかるでしょうか。敏捷性のある組織にするための組織変革に10年以上かけていたら、その会社が変革を終える前に市場から“レッドカード”を突きつけられるでしょう。

 従来の組織構造に馴染んだ人材を、即時処理・連携・リーン開発ができるような人材に育成することは難しいのではないでしょうか。時代の変化に対応できる組織に進化するには、われわれゆめみも採用している、アジャイル組織の考え方[1]が一つの解決策となるかもしれません。

 では、まずは「銀行業」の過去・現在・未来を見ていきましょう。


[1]アジャイル組織を運営するゆめみ片岡代表取締役が、社員と対話した“8つのきょういく”とは?」(ビズジン 2019年05月14日)

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