「もうExcelでの収益管理は限界」 流動化事業において急務となったDX
不動産総合デベロッパーとして知られるタカラレーベンは、新築分譲マンション事業に加え、エネルギー事業や建替・再開発、海外での不動産販売などといった事業も積極的に展開している。中計目標および売上目標の内訳としては、新築分譲マンション事業がほぼ半分を占め、インフラ投資法人向けに大規模発電施設の開発などを行うエネルギー事業、そして流動化事業が続く。流動化事業では、建物の改築などを中心に年間数百億円という売上規模を目指すも、近年までExcelで収益管理を行っていたという。
そうした状況を受け、約20年間ITベンチャーでアプリケーション開発に携わり、2016年に同社に入社、2019年からAI推進課(IT部門)に属する武部氏は、流動化事業の売上管理やデータ統合の命題を受け、プロジェクトを開始することとなった。
武部氏は「流動化事業では、そもそもの物件数が増加していたことに加え、ホテルをマンションにリニューアルしたり、古い物件を建て直したり、事業の内容が多岐にわたるようになっていた。さらにオフィスやホテル、商業施設など、取り扱うアセットも多様化したことで、従来の画一的な収益管理では難しい状況に陥っていた」と語る。
また、「建替には2〜3年以上かかる長期プロジェクトも存在し、『長・短期間のプロジェクトにおける収支をどうやって一緒に管理するのか』『長期プロジェクトの当初の持出し分をどうみなすのか』などといった、期間を考慮した収益率の把握が困難となっており、Excelでの管理は限界を迎えていた」と当時を振り返った。特に、年度や期別での収支の把握が迅速に行えないことは、経営的課題にもなっていた。そこで的確かつ迅速な「収益の見える化」を図るために、経営管理ツールの導入について検討を開始したという。